新年の一般参賀や大相撲初場所ご観戦で、雅子皇后は好調なお姿を見せられている。にもかかわらず、その肉声はいまだ国民に届けられていない。なぜか。医師団が、ひいては主治医が、雅子さまの会見実現に立ちはだかっているからである。

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 雅子さまの肉声は、病気療養に入られる前の2002年冬の会見が最後である。しかし、令和の世では即位行事や被災地訪問などの主要な行事をこなされてきた。

「だからいよいよ、記者会見でお話しになるのでは、と期待していたのですが」

 と、宮内庁担当記者。

「来る2月23日、60歳を迎えられる天皇陛下の会見に、記者会として雅子皇后のご同席を要望してきました。しかし宮内庁は頑なで、“快復途上ということでご理解を”の一点張り。こちらも“文書と肉声では伝わり方が違う”と食い下がったのですが、“我々も気持ちは一緒です”と宥めすかしてくる有様でした」

 そんななか、天皇皇后両陛下が今春、イギリスを訪問される予定が発表された。

「英国ご訪問は最低でも4泊6日は必要です。快復途上というなら、その行程で大丈夫かと問い詰めても、“ご体調に波がある”との医師団見解を盾に、通り一遍の回答だけでした」

 医師団見解は、05年から雅子さまの誕生日である12月9日に公表されてきた。

〈依然としてご快復の途上〉〈ご体調には波がおあり〉〈過剰な期待を持たれることは、(中略)かえって逆効果となり得る〉

 この3点がほぼ毎年並ぶ。昨年の誕生日もしかり、だ。宮内庁は十余年にわたり、ひたすらこの見解を錦の御旗にしてきたのである。

私的な友人

 見解の“作成者”と問題点を、先の記者が指摘する。

「雅子皇后の主治医、精神科医の大野裕医師によるものです。上皇ご夫妻は、ご自身の体調や病状をきちんと国民に知らせるお考えである一方、雅子皇后と大野医師はそうではない。身体的な病とは別で心の問題だということだと思います。ただし、いまどきは心の病に悩まれる方も多く、世間では普通の病気と認知されている。雅子皇后の心の病だけ特別扱いし、隠し立てするのはおかしいという意見も出て当然です」

 皇室ジャーナリストの神田秀一氏も、

「医師団の見解は決まりきった表現で、医学的な情報がまったく含まれていない。これはおかしな状況です。皇后は、天皇に不測の事態があった際に代役をつとめることができる特別なお立場。その病状や治療方法などの情報は公的な側面が大きいので、国民に対してもっと医師らしい見解が出されてもいいはずです」

 それが出されないのは、

「大野先生は宮内庁の職員ではなく、あくまで雅子さまの私的な友人にすぎないのです。つまり、雅子さまの心のご病気は大野先生だけが治療を行っている状態なのだと思います。かつて、皇室の医療を統括する医務主管を務めていた方が月刊誌のインタビューに“大野先生から医学的な説明を受けたことがなかった”と答えたことがありました。医務主管ですら把握できていない病状を宮内庁が発表できるはずがありません」

 大野医師がそれを阻んでいる格好になるわけだ。当のご本人に訊ねると、

「すみません。どなたにも一切お話ししていませんので。医務主管の方に聞けばいいんじゃないでしょうかね」

 淡々と、丁寧に、そして他人事のように語るのみであった。

「週刊新潮」2020年2月13日号 掲載