とある調査によると、保有される自転車のうち約17%が電動アシスト付きなのだという。道理でバイク並みのスピードで飛ばしたり、子供を乗せてぐいぐい坂を登る自転車が増えているわけだ。車体の重量も30キロ以上は当たり前。人にぶつかれば、重傷を負わせてもおかしくない。

 そんな“電動ブーム”の余波なのか、東京都で、自転車保険の加入義務化条例が施行されたのは4月1日のこと。奈良や愛媛でも今年4月から施行されており、保険の義務化は全国で広がっている。

 東京都の都民安全推進本部に聞くと、

「自転車保険は、買った際に加入するほか、火災保険などに付帯しているケースもあります。施行に先立って調査したところ、今年3月時点で46・6%の利用者が自転車保険に入っているというデータがあります」

 ちなみに新たに自転車保険に入ると、年額で数千円。1万円ちょっとのママチャリだったら結構な負担割合だ。ところが、自転車販売大手の「あさひ」に聞いてみると、保険に入らない客もいるのだという。

「“もっと良い内容がないか他社とも比較検討したい”など、お断りになる理由もさまざまですので、その場で加入されない場合の対応も特にございません」(広報担当者)

 そこで改めて条例を読んでみると、「義務」とはうたっていても罰則がない。一方、車の自賠責保険は入っていないと懲役刑だってある。

 再び都民安全推進本部の話。

「自動車やバイクは、ナンバープレートと自賠責保険がセットなので保険の未加入はすぐに分かります。しかし、自転車はナンバープレートがないので、所有者が一目では分かりません。また、条例がない自治体もあって、県境を越えてやってきた未加入の人を罰するわけにもいきません」

 つまり「ザル条例」というべきか。テンピンで賭け麻雀しても捕まらないようなものだ。

「週刊新潮」2020年6月18日号 掲載