酒気帯び運転で免許取り消し。この当然とも思える処分を「違法」だとする、驚くべき判決が今月3日に東京地裁で下された。

「原告の男性は2016年、東京・町田市内でペットボトルに入れた焼酎の水割りを飲み、オートバイの運転を開始。5分後の午後4時半頃に警官に停止を求められました。押し問答の末、約30分後の午後5時頃に検査を受け、呼気1リットル当たり0・16ミリグラムのアルコールが検出されたのです」(司法記者)

 この数字が0・15ミリグラムを超えると酒気帯びと認定されるが、男性には交通違反の前歴もあり、あわせて免許取り消しとなったのだ。

「しかし男性は、運転していた飲酒5分後の時点では0・15ミリグラム未満だったはずだとして、処分取り消しを求めて東京都公安委員会を提訴しました」(同)

 警視庁側は「飲酒5分後も濃度が0・15ミリグラム以上だった可能性がある」と主張し、これを立証すべく実験を敢行。飲酒した成人3名の呼気を5分毎に計測したが、

「法廷に提出されたデータでは、呼気の濃度変化の傾向がバラバラで、警察の狙いは外れた。しかも、わずか3名のデータでは不十分だと判決で退けられる始末でした」(同)

 不運だったのは、厚労省のサイトに「飲酒後の血中濃度のピークは30分から2時間後」といった知見が紹介され、原告男性に有利に働いたことだった。事実、判決は「運転時の濃度が検査時よりも低かった可能性は否定できない」として、処分を違法と結論づけた。

 警視庁は「控訴は未定」とするが、こんな仰天判決が確定しては、ノラリクラリ文句を言って検査のタイミングを遅らせ、検出された数字に後でケチをつけてやろうと目論む不埒なドライバーが増えやしないか。

 この点、神奈川県警の元刑事・小川泰平氏は、

「あくまで呼気検査は任意で、説得して協力を得るものです。でも今後、呼気検査を拒否して時間稼ぎをするような輩が増えたとしたら、証拠隠滅の容疑で逮捕するしかないと考えます」

 そもそも酒をあおって運転した上にその反省もない輩の言い分を聞いてどうする。杓子定規のこの裁判官は飲酒運転の死亡事故を増やすつもりか。

「週刊新潮」2020年7月23日号 掲載