界隈で有名だった“しゅん&リンコ”

 6月12日に静岡県浜名湖畔の施設で行われた乱交パーティーが摘発され、いまもなお世間の強い関心が薄れないのは、主催者が「自衛官」という点、そして参加者120人という規模の大きさゆえだろうか。今回、この事件の通報者だという女性に接触することができた。『売る男、買う女』(新潮社)などの著書があるノンフィクション作家の酒井あゆみ氏が取材した。

(以下、「デイリー新潮」6月18日配信の記事に加筆・修正しました)

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 今回、公然わいせつほう助容疑で逮捕されたのは、主催者の自称自衛官の男性(54)と自称看護師の女性(51)、そして2人の客だった。主催者の二人は、界隈では知られた存在だったようだ。関係者がいう。

「二人は“しゅん&リンコ”というカップルとして有名でしたね。2015年くらいにやはり乱交パーティーで知り合ったと聞いており、新宿御苑のマンションの一室や錦糸町の一軒家で、定期的に乱交パーティーを開催していました。ちなみに愛好家の間では乱交パーティーなんて直接的な言い方はせず、単にパーティー、と呼んだりします。二人の主催するパーティーは質が高いことで有名でした」

 質が高いとはすなわち、参加者のクオリティーが高いことを意味する。

「普通、こういう場では自分の身分などは明かさないものですが、しゅん氏の場合、自衛官であることは一部には明かしていました。鍛え上げられた体であることの証明、いわば“売り”になるわけですから。実際、彼はいいカラダをしていましたよ。それを目当てに女性たちが集まり、そして男性たちも集まっていった。彼は既婚者でしたが、パートナーのリンコはたしか独身で、風俗店勤務の経験の持ち主。パーティー主催の収入があるから看護師は辞めたと聞いていましたが、報道では“自称看護師”とありますね。私の情報が古いのか……復帰したのかもしれませんが」

 パーティーの参加者募集を大々的に告知すると摘発のリスクがあるため、口コミや信用での募集が基本。そういう意味で「100人規模のパーティーを開催できる“しゅん&リンコ”はさすが」(同)であるそう。

 乱交パーティーといっても、参加する全員が全員、愛好家というわけではない。会場に集まった参加者が酒などを飲みつつ、徐々に行為が始まっていくというのが理想の展開だそうだが、きっかけがつかめずに「集団飲み会」に終わってしまうリスクもある。それでは高額な参加費を払った男性客からのクレームを招きかねない(一般的に男性の方が参加費は高く、女性は無料の場合が多い)。そこで主催者は、起爆剤となりうる「サクラ」をあらかじめ仕込んでおくのだ。“ある程度時間が経ったら、自分からお客を誘って”と。

 その場合にサクラにもギャラを払う必要がある。往々にして、この支払いをめぐって主催者とサクラはトラブルになりがちだと、先の関係者はいう。匿名の通報がきっかけだったと報じられている今回の摘発。界隈では、過去に金銭でもめ、主催者に恨みを持っていたサクラの通報では……とうわさになっていたが、事実は少し異なるようだ。

通報者が語る

「5月のゴールデンウイーク明けくらいに、浜松警察署に通報しました。『6月の11、12日に浜名湖近くのペンションで乱交パーティーをやるようですよ』と。名前を聞かれましたが答えませんでした」

 こう証言するのは、関東地方に住まいのある40代の既婚女性Aさんだ。彼女のいう「浜松警察署」というものは存在せず、浜松中央警察署なのか浜松東警察署など他の警察署なのか定かではないが、“5月にあった匿名の通報により摘発に至った”という報道とは一致する。

 Aさんは“しゅん&リンコ”と直接の面識があるわけではない。ではなぜ、通報することにしたのか。実はAさんはセクシー女優として人気を博した過去があり、一時期は高級性風俗店に勤務していた。引退した今は夫に隠れ、ギャラ飲みなどでお小遣いを稼ぐ程度だという。
 
「4月にギャラゴルフ(※金銭を受け取り客と一緒にラウンドを回る)をした50代の人から『6月に浜名湖で乱交パーティがあるんだけれど、行かない? ギャラ5万円出るから』 『進んで絡んでいく女性役をやってもらいたいんだけど』と電話があったんです」

 つまりサクラの打診である。この50代の人物が“しゅん&リンコ”とつながっていたということなのだろう。ともかく、この提案はAさんのプライドを傷つけた。

「一回しか会ってない、しかも一緒にゴルフしただけの男から、そんな電話が来たのが許せなくて。しかもゴルフのとき、私は過去のことは一切喋っておらず、“一般人”として会ったのに。たぶん私の住んでいる地域から会場の浜名湖までのアクセスが良いことを知っていて声をかけたのでしょうが、もう、怒りしかなかったですね。そもそも家族がいるから泊まり(でのパーティー参加)もできないし、一晩中、何人ともヤッてたったの5万円ですよ。なめてますよ。安いお金でなんでもやる女だと見られたことに、腹が立ったんです」

 電話を受け、Aさんはすぐに通報した。なお、事件が発覚した経緯については〈5月“末”にもたらされた匿名の通報〉(テレビ静岡)という情報もある。彼女以外からもタレコミはあったのだろう。ともあれ、日本の性犯罪史に残るかもしれない事件が発覚したきっかけは、なんともあっけないものだった。

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 この事件を機に、乱交パーティーの摘発が相次いでいる。先月20日、千葉県教育委員会は、東京都港区で開かれた乱交パーティーに参加し、女子高校生にわいせつな行為をしたとして、松戸市の中学校教諭を懲戒免職処分にしたと公表。

 さらに今月には34歳の医師の男が、乱交パーティーに参加して女子高校生にわいせつな行為をしたとして逮捕された。また、同じ乱交パーティーに参加したとして、僧侶ら7人も書類送検されている。

 両事件ともに女性高校生が巻き込まれているだけに、素早い全容の解明が待たれる。

酒井あゆみ(さかい・あゆみ)
福島県生まれ。上京後、18歳で夜の世界に入り、さまざまな業種を経験。23歳で引退し、作家に。近著に『東京女子サバイバル・ライフ 大不況を生き延びる女たち』ほか、主な著作に『売る男、買う女』『東電OL禁断の25時』など。Twitter: @muchiuna

デイリー新潮編集部