6万円弱の品物を盗んだ疑い

 愛知県警は10月31日、6代目山口組3代目弘道会傘下の野内組若頭補佐・浅野宏隆容疑者を窃盗容疑で逮捕した。6代目山口組にあって野内組と言えば飛ぶ鳥を落とす勢いとされる。そんな組織の大幹部が窃盗を働いて逮捕に至ったということでちょっとした話題となっている。本当に窃盗を働いたのか? 目的は何なのか? 一方で警察の狙いは何なのか? 元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は暴力団組員の更生を支援するNPO法人「五仁會」を主宰)に、“隠された構図”について解説してもらった。

「浅野若頭補佐は共に逮捕された男女と共謀し、9月7日に岐阜市内の女性の自宅から上着など5点(6万円弱相当)を盗んだとされています。盗まれた品物は元々、組織を辞めた元組員Aが所有していたものでした」

 と、担当記者。浅野若頭補佐らが組織を抜けた元組員Aを元サヤに収めるための犯行だったと、警察はにらんでいるようだ。

組織を抜けた組員と内縁女性

「岐阜市に本拠を置く野内組と言えば、豊富な資金と実働部隊を背景に6代目山口組内で大きな存在感を誇っています。野内正博組長が3代目弘道会の若頭を務めていることからもそれはよくわかると思います。山口組が7代目に代替わりすれば、4代目弘道会の会長となって、山口組の直参となるものと見られています」

 と、竹垣氏。

「そんな組織の若頭補佐という大幹部が、たった6万円ほどの品物を窃盗した容疑で逮捕されたということに、少し耳を疑いました。仮に組織を抜けた元組員Aを奪還するためだとしても、この大幹部がそんな危ない橋を渡るようには思えなかったのです」(同)

 その後、こんなことがわかってきたという。

「被害者とされる女性は、元組員Aとは内縁関係にあったそうです。犯行日とされる9月7日より前に、Aが姿を消しました。内縁女性は浅野若頭補佐に、“Aがおらんようになって、帰って来る見通しもないので、この岐阜の住まいを引き払って、埼玉の実家の方へ戻ろうと思います。ついては、Aの荷物はどうしたらいいか……”と相談したと言います」(同)

その荷物はオレが預かるよ

 浅野若頭補佐は、「それなら、その荷物はオレが預かるよ。また、あなたの引っ越し作業も人を出して手伝わせるから」と答えたという。

「厚意と親心から出た言葉だったようで、実際に内縁女性から一旦荷物を預かったのですが、それで物を盗んだ疑いをかけられたということのようです」

 浅野若頭補佐の担当弁護士は「逮捕は不当」と準抗告したが却下されたという。

「この浅野若頭補佐は、同じく野内組傘下で2代目川合組舎弟の林雄司組員とは兄弟分だと聞きました。この林組員は6月5日、神戸市にある神戸山口組の井上邦雄組長の自宅へ発砲した容疑で逮捕されています。浅野若頭補佐はこの銃撃の共犯の疑いをかけられていると聞きましたね」(同)

 警察の狙いの本丸はこちらの銃撃事件にあるということなのだろうか。

「仮に井上組長宅への銃撃に関して共犯が強く疑われるような状況になれば、それを浅野若頭補佐に指示した人物の存在がクローズアップされるでしょう」(同)

対外的なアピールに

 当局としては使用者責任を見据えての身柄拘束ということだったのか? とすると、一種の別件逮捕ということになるが……。

「実際にどこまで、その“別件”の方に迫れるかというところですね。浅野若頭補佐は黙秘を貫くことでしょうし、そのまま別に証拠が出てこなければ20日間の勾留で釈放ということになります。若頭補佐自身、身に覚えのない逮捕にはまったく納得していないと聞きました。一方で警察としては、ちょっとした穴やほころびがあると見れば暴力団組織撲滅のために動くのは当然でしょう。3代目弘道会、そして野内組はこの世界でとても注目されていますし、そこの大幹部の身柄を拘束するというのは対外的に大きなアピールポイントとなるはずです」(同)

 神戸山口組や対等連合を組む池田組などのトップへの追撃の手を強める6代目山口組側。そのタイミングを組織弱体化のチャンスと警察当局もうかがっていることは間違いないのだろう。

デイリー新潮編集部