コロナ感染の先行きは不透明ながらも、天皇、皇后両陛下は行幸啓たけなわ、新年の一般参賀も3年ぶりの開催が決まった。が、宮中にはなおも不安が横たわる。それは、平成時代から懸念されてきたにもかかわらず、長らく報じられていない雅子皇后のご体調である。

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 先月の沖縄県に続き、今月は「全国豊かな海づくり大会」ご出席のため、兵庫県へ行幸啓された両陛下。ウィズコロナのもとで新たな道を模索しながらも、令和皇室は着実に歩を進めており、

「先日は、久々に雅子さまの“国際派皇后”の面目躍如といったお姿が拝見できました」

 とは、宮内庁担当記者。両陛下は2日、御所でドイツのシュタインマイヤー大統領夫妻と面会された。

「話題はサッカーW杯にも及び、陛下が『残念なのは日本とドイツが同じ組だということです』と水を向けられると、大統領も『悩ましく思います』と応じるなど、和やかに30分余りが過ぎたのです」

 とのことで、

「両陛下とも通訳を入れずに歓談なさっていました。なかでも雅子さまは夫人と時折ドイツ語を交えてお話しになり、『お上手ですね。どこで学ばれたのですか』と尋ねられるほどでした」

 マルチリンガルの才はこれまでも垣間見え、2019年6月にフランスのマクロン大統領夫妻を宮殿に招かれた際にも、雅子皇后は通訳を介さずに英語とフランス語を交えて懇談されていたのだった。

不安がよぎるニュース

 今月5日には、長女の愛子さまも久々にメディアの前にお姿を見せられている。

「皇居で宮内庁楽部による秋季雅楽演奏会を初めて鑑賞されました。愛子さまは大学で伝統芸能の科目を履修され、雅楽に関心をお持ちになって鑑賞を希望なさったのです。当日は“単独ご活動デビュー”となった愛子さまをサポートなさるように、秋篠宮家の佳子さまもご同席。開演前はお二方で談笑される場面もありました」(同)

 演奏を聴かれた愛子さまは「重厚な音ですね」と感想を述べられたという。かようにご一家は目下“充実の秋”を過ごしておられるわけだが、そんな折、一抹の不安がよぎるニュースも流れていた。

「さる6日、陛下は前立腺に疾患がないかを調べるため、東大病院で日帰りのMRI検査を受けられました。これまでの血液検査で、前立腺がんなどの指標となる腫瘍マーカーのPSAの数値に『やや懸念される傾向』がみられたためです。後日判明する結果次第では、組織を採取するなど精密検査も検討されていますが、現在のところ陛下に自覚症状はなく、ご公務も予定通り執り行われています」(同)

 PSAの数値は、前立腺肥大や前立腺炎でも上昇することがあるという。ひとまず検査結果を待つしかないのだが……。

「当面、1泊2日が限界だろう」

 さらにもう一つ、ご一家には長らく憂慮されている案件がある。宮内庁関係者が声を潜めて言う。

「それは取りも直さず皇后さまの“コンディション”です。令和の御代替わり以降、皇后さまのご体調が快復傾向にあるかのように報じられることが多くなりました。ですが、やはり今も厳然と“波”はおありなのです」

 そうした状況は、毎年12月9日のお誕生日に公表される「医師団見解」からも明らかであり、また、

「先月、四大行幸啓の『国民文化祭』開会式ご出席等のため四半世紀ぶりに沖縄を訪問された際は、1泊2日と慌ただしい日程でした。というのも、コロナの感染状況を十分に勘案しながら、実際には皇后さまのご体調を考慮した部分が大きかったからです。侍従職からも『現在の皇后陛下では、地方お出ましは当面、1泊2日が限界だろう』といった声が出ています」(同)

真夜中に御所周辺を散策

 実際に、そんなご体調を物語るかのような“お振る舞い”もうかがえるという。

 毎週月曜日に行われる宮内庁次長の会見では、両陛下の私的なご動静がオフレコで紹介されることがある。例えば「陛下は土曜にジョギング」「日曜は両陛下でテニス」といった具合だが、ここで明かされない“日程”があるというのだ。

「実は皇后さまは、今もうまく寝つけずに時折、真夜中の時間帯に御所周辺を散策なさることがあるのです」(同)

 かつて皇太子妃時代、そのお過ごしようは“昼夜逆転”などと指摘されたこともあった。現在もなお、生活のリズムを大幅に崩される時があるといい、それが独り深夜のそぞろ歩きにつながっているのだから穏やかではあるまい。

 こうしたご体調は、日常のご活動にも深い影響を及ぼしており、

「04年夏に『適応障害』を公表された皇后さまにとって、不特定多数の人々と限られた空間で向き合われることは大きなご負担となります。それもあって、皇居や赤坂御所での除草や清掃作業に携わる勤労奉仕団と対面なさる『ご会釈』は、平成の時代からもっぱら陛下がお一人でなさってきました。現在はコロナ禍で作業自体が減っていますが、令和に入って皇后さまがご会釈に同行されたのは、一昨年1月の1度だけです」(同)

ご体調にムラが

 また、皇太子妃時代からお出ましの機会が少なかった宮中祭祀についても、

「基本的には陛下が執り行われる祭祀であり、必ずしも皇后さまがお出にならなければいけないわけではありません。ただ、平成の時代は首や腕の痛みを訴えられた終盤を除き、上皇后さまは努めてお出になっていた。これに比べると皇后さまは、祭祀の当日は御所、すなわちお住まいにとどまられての『お慎み』『ご遥拝』が目立ちます」(同)

 御代替わりから1週間後の19年5月8日、同年秋に執り行われる「即位礼正殿の儀」と「大嘗祭」の日程を告げる「期日奉告の儀」に陛下が臨まれた際、雅子皇后も宮中三殿を参拝された。三殿すべてで祭祀に臨まれるのは長期療養に入る前、02年12月以来のことだった。

「その後、春秋に催される皇霊祭や、宮中三殿の皇霊殿で営まれる明治天皇や香淳皇后の例祭にお出になったことはありますが、やはりご体調にムラがあり、持続していません。そもそも皇后さまは、重要なご公務に臨まれる数日前から、お体への負担が掛からないよう他のご活動をセーブして過ごされているため、宮中祭祀を十分にこなすことはきわめて困難なのです」(同)

完璧主義

 精神科医の片田珠美氏は、こう分析する。

「適応障害は、環境調整によって一気に治ることもありますが、基本的には快復期でも波があり、一進一退を繰り返します。雅子さまはここ3年余りの間で皇太子妃から皇后になられ、コロナ禍が襲いかかり、その後オンライン中心だったご公務は現地へのお出ましへと切り替わりました。こうした変化と持ち前の責任感が、重荷になっているのではないかと思います」

 というのも、

「きわめて優秀な経歴をお持ちのまま皇室に入られた雅子さまは『完璧主義』、つまり100点満点でないと納得できず、落ち込んでしまいやすい性格だと考えられます。それゆえ『今回の活動は100点でできそうにない』とお考えになると、お出ましもかなわなくなってしまうのです。宮中祭祀や勤労奉仕団へのご会釈でも、できることから一つずつ重ねて慣れていかれる中で、『必ずしも満点でなくてもいい』という成功体験を積まれていくとよろしいのではないでしょうか」

主治医が語る現状

 皇太子妃時代から不眠に悩まれてきた雅子皇后は、ご体調について主治医である精神科医にたびたび相談なさってきた。そのご当人、大野裕医師に尋ねると、

「日々の生活のリズムやお散歩については、非常に個人的なお話であり、ご本人にお任せしているところです」

 としながらも、

「“波”がおありになるというのは、少し頑張られる時もあれば、そうでない時もおありだということです。(宿泊を伴うご公務は)これまで日帰りでなさっていたので次からは1泊と、まずはそういった順番ではないでしょうか。この前の沖縄も今度のお出ましも、おできになるところからなさっていただければ……。私も皇后陛下には『あまりご無理はなさらないように』とは申し上げております」

 案じられる御代替わり以降のご体調については、

「以前に比べたら動けるようになっておられ、全体的には上向きといえますが、快復のスピードについては、はっきりとは言えません。行きつ戻りつ三寒四温といったところでしょうか」

体調を崩されないことが第一

 地方行幸啓の只中にある御身にとって、くれぐれも無理は禁物だというのだ。皇室制度に詳しい静岡福祉大学の小田部雄次名誉教授が言う。

「平成の時代、美智子さまが精力的に動かれていたこともあり、どうしても比較されがちですが、皇后さまの一番のお仕事は陛下をお支えすること。雅子さまは今もそのお務めを果たされていると思います。MRI検査を受けられたばかりの陛下をケアされる重責も担われているのですから、体調を崩されないことが第一です。雅子さまを『一生お守りします』と仰った陛下にもしものことがあれば、愛子さまにとっても一大事であるのは言うまでもありません」

 愛子さまが初めて参列なさる新春2日の一般参賀は、否応なく注目を集めることになろう。はたして雅子皇后は“三寒四温”の冬を越え、穏やかな春へとつなぐことがおできになるだろうか。

「週刊新潮」2022年11月17日号 掲載