ポイントカードには反社条項が
6代目山口組傘下の2次団体・3代目司興業の町永拓彌副組長が、スーパーのポイントカードを作った件に絡んで愛知県警に詐欺容疑で逮捕された。先月には大阪府警がETCカード使用に関する電子計算機使用詐欺の疑いで暴力団幹部を逮捕している。当局の狙いとは何なのか? 元山口組系「義竜会」会長で、暴力団組員の更生を支援するNPO法人「五仁會」主宰の竹垣悟氏が解説する。
「3代目司興業の町永拓彌副組長の逮捕容疑は名古屋市にあるスーパーで暴力団員であることを隠し、ポイントカードを申し込んだというものです。会員カードの約款には“反社会的勢力の排除”の条項があり、暴力団員や反社会的勢力はカードを作ることができない前提でした」
と、社会部デスク。町永副組長はそういった事実を知らなかったとの供述をしているとされる。ポイントカードを作る時にわざわざ約款に細かく目を通す人は少ないだろうから、この供述にはそれなりに説得力があるようにも思われる。
ヤクザは高速道路を通るな
しかし、つい最近、よく似たパターンの逮捕案件があったのも事実だ。
2月、ETCカードをめぐって大阪府警は6代目傘下の2次団体・秋良連合会の金東力会長や、同じく2次団体・極粋会の山下昇会長や2代目章友会の新井錠士会長らを電子計算機使用詐欺の容疑で逮捕している。
「2人は肉親や近親の者名義のETCカードを不正に利用した疑いがもたれています。いずれもその後、起訴されました」(同)
ETCカードに関連しては、こんな事件もあった。昨年、クレジットカードを取得していない人でもETCが利用できるという「ETCパーソナルカード」に関する詐欺容疑で、6代目山口組傘下の2次団体の若頭や3次団体の若頭補佐ら9人が逮捕されている。その中には、6代目山口組の高山清司若頭や竹内照明若頭補佐(3代目弘道会会長)のドライバーも含まれていた。
「ただ、本件は、カード発行会社に対して事前に問い合わせをし、後に反社だとわかっても逮捕されることはないとの“お墨付き”を得ていたという経緯がある中での身柄拘束でした。そういった事前のやり取りがあったおかげもあってか、不起訴となりました」
と、竹垣氏。
6代目山口組を狙い撃ち
「ETCパーソナルカードにしろETCカードにしろ、ヤクザは高速道路を通るなということなのでしょうかね。東京では、ETCカードがなければ通行できない出入り口があるということですし、そういった出入り口は増えていく一方でしょう」(同)
ヤクザの一般道利用頻度があがることが、一般人の安心につながるのかどうかは不明だが、高速道路会社6社は確実に暴力団に対する規制を強めている。
「高速道路を使用することで暴力団の利益供与につながるわけではなく、それでも排除するなら明らかに法の下の平等に抵触するというのがヤクザ側の主張ですね」(同)
その一方で、「暴力団の追放は徹底すべきで、ETCの利用が生活に欠かせないということではない」との主張が規制側の捉え方だとされる。
「いずれにせよ、捜査当局が6代目山口組を狙い撃ちしていることがよくわかりますね。当局の静止を振り切って抗争を継続する6代目側に対し、その弱体化のため、人・モノ・カネといった全方位的な締め付けを敢行している流れで、当局側のツールとして利用されている1つがスーパーのポイントカードであり、ETCカードなのでしょう」(同)
暴排条例による包囲網はどんどん狭まっていることは間違いなさそうだ。
デイリー新潮編集部