「これを機に、国民民主党は自公政権寄りに舵を切る。“勝負あった”ですね」

 政治部デスクが言うのは、わずか1日で萎んだ同党の前原誠司代表代行による“幻のクーデター”のことだ。

 衆議院が2023年度補正予算案を採決した11月24日朝、「京都新聞」は〈国民・前原代表代行、離党の意向 党が補正予算案賛成なら 新党設立も視野〉とのスクープ記事を配信した。岸田文雄政権へのスタンスを巡る、玉木雄一郎代表との路線対立が引き金だとする書きぶりだったが、本当の原因は別にあった。

「それは来年2月の京都市長選。前原氏の意中の候補は旧民主党で前原グループに属し、官房副長官も務めた松井孝治元参院議員でした。彼なら“非自民、非共産”で野党勢力を結集できると考えたとか。ところが自民党が松井氏を横取りし、公明、立憲民主党と相乗りで支援する枠組に。ウラで、自民党の伊吹文明元衆院議長が動いたそうです」

記事は勇み足だった?

 慌てた前原氏は京都市議会で国民民主党、日本維新の会と会派を組む地域政党「京都党」の政策顧問、村山祥栄元市議に乗り換えた。が、彼には市長選で2度敗北した過去があった。

「さすがに玉木代表も、そんな人物を“推せるわけがない”と一蹴したんです」(国民民主党関係者)

 党内では“代表の判断は当然”との声が多数というが、収まらないのはメンツを潰された格好の前原氏。

「鼻息荒く“離党も辞さない”と漏らしたのを記者にキャッチされた。還暦を過ぎても、政局観の欠如と癇癖は相変わらずです」(同)

 記事が配信されると、前原氏はSNSに〈補正予算の賛否を理由に、重大な政治決断をすることはありません。本人に確認することなく、この様な記事を書くとは。誤報です!〉と投稿。

 一方でこの日、国民民主は与党提出の補正予算案に賛成し、前原氏も同調した。記事は勇み足だったのか。

 再び政治部デスクの解説。

「そうとも限りません。採決後、前原氏は記者団の質問にロクに答えず、逃げるように立ち去った。詳細を追及されてボロが出るのを嫌がったとみられている」

“話題作りが成就したためしがない”

 前原氏は旧民進党代表だった17年に、旧希望の党との合流騒動で党の分裂を招く大失態を演じている。

「自民党にとっては衆院選で圧勝する“敵失”となった。与党の古参議員は“前原は話題作りはうまいけど、それが成就したためしがない”とあきれていますよ」

 連立政権参加に意欲を見せる玉木代表とは対照的に、前原氏は政権交代を視野に維新との連携を模索してきた。そんな二人の対立は、9月の党代表選で玉木氏が圧勝したことで決着したのではなかったのか。

「粘着質な性格が露呈して、党内での前原氏の存在感はさらに低下。岸田総理はそんな事情を見透かすように、元国民民主党参院議員の総理補佐官への抜てきに続いて、玉木代表が訴えるガソリン税の一部を軽減するトリガー条項の凍結解除に“検討を進めるのは有意義だ”とリップサービスしました」

 今後は自公国による3党協議が本格化する見通しだ。

「昨年、野党分断を狙う岸田総理のもくろみの下、国民民主党は同じ構図で22年度予算に賛成したが、与党側がほごにした。が、いまや内閣支持率は2割台で総理に余裕はない。何とか玉木氏を抱き込んで、延命を図りたい腹なんでしょう」

「週刊新潮」2023年12月7日号 掲載