千丈の堤も蟻の一穴で破れてしまうというのだから、穴どころか亀裂が四つも五つもあったのでは堪ったものではないだろう。

 全国各地で同時多発的に発生した“保守分裂”に頭を悩ませるのは自民党のお歴々である。

 政治部記者によれば、

「今年4月に予定されている統一地方選挙の県知事選挙で、自民党が候補者を一本化できない“保守分裂”を危惧するのが、北海道、福井、島根、徳島、福岡の5道県。こんな事態は異例ですよ」

 分裂とはすなわち党公認の取り合いなのだから、公認権を持つ二階俊博幹事長もさぞかし苦心しているに違いない。ところが、

「二階さんにとっては、地方の分裂なんてどこ吹く風。山梨県知事選と比較すれば、よくわかりますよ」

 とは、さる自民党関係者である。

 27日投開票の山梨県知事選は、現在、選挙戦の真っ只中。自民党は、先の衆院選で党が分裂した怨讐を封じ、二階派で落選中の長崎幸太郎氏を候補に立てて一枚岩となったのだが、

「二階さんは幹事長としてというよりも、子飼いの長崎氏のために保守分裂を回避させた。そのおかげで、山梨県知事選は国政選挙並みの態勢が敷かれ、党中央から弁士が次々と駆け付けているんです」(同)

 一方、揉めに揉めた福井県に目を向けてみれば、

「分裂の一因は、候補者の一本化ができていない県連の事情を把握しないまま、二階さんがうっかり現職の出馬を容認するような発言をしたことにあるんです。でも、事態が混迷した後は“地元で決着をつけろ”の一点張りで、山梨県知事選とは大きな違い。昨年11月には福井県で自身の後援会のパーティーを開催する予定だった二階さんですが“今福井に入るのはまずい”とドタキャンしてしまったくらい。地元は呆れ返っていますよ」(同)

 目をそらした亀裂は、堤を確実に蝕み始めている。

「週刊新潮」2019年1月31日号 掲載