11月28日、れいわ新選組の山本太郎代表と野党統一会派に参加する馬淵澄夫元国交相が主催する「消費税減税研究会」の2回目の会合が国会内で開かれた。この研究会に参加予定だった立憲民主党の石垣のり子参院議員(45)は、嘉悦大の高橋洋一教授を講師として招いたことに反発。「レイシズムとファシズムに加担するような人物を講師に呼ぶ研究会には参加できません」とTwitterで発信したのだ。

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 宮城県仙台市出身の石垣議員は、宮城教育大学を卒業後、エフエム仙台に入社。21年間アナウンサーを務めた後、今年7月の参院選で宮城県選挙区から出馬した。TwitterやFacebookで支援者を募り、自民党の現職を約9000票差で破って初当選を果たした。彼女は消費税について、低所得者ほど負担が重くなり、社会保障の財源にするのは本末転倒であるとし、将来的に廃止すべきと主張している。消費税ゼロを訴える山本太郎氏に同調し、「消費税減税研究会」に参加するはずだったが……。

 11月28日付のTwitterで、石垣議員はこう主張した。

〈馬淵澄夫さん山本太郎さん主催の消費税減税研究会。初回の講師は、高橋洋一氏とのこと。これから始まるという時に大変残念ですが、当初言明したように私は、レイシズムとファシズムには一切加担しません。よって、レイシズムとファシズムに加担するような人物を講師に呼ぶ研究会には参加できません。〉

 思わずのけぞってしまいそうな内容である。レイシズムは人種主義のことで、人種間に根本的な優劣の差異があり、優等人種が劣等人種を支配するという思想のことだ。ファシズムは、権力で労働階級を押さえ、外国に対しては侵略政策をとる独裁主義をいう。今時こんな思想を持っている人がいるとは、にわかには信じられないが、石垣議員によれば、

〈この件について、山本太郎氏と電話で話をしました。
山本氏は「普段の主義主張や見え方よりも、その人の専門的な知見を尊重したい」という趣旨のことをおっしゃっていました。
「どんな人からも学べるところはある」「罪を憎んで人を憎まず」、その通りだと思います。〉

 山本氏は、なかなか懐の深いところがあるようだ。もっとも、彼女は、

〈どんな前科前歴があろうと、「今現在その問題がなければ」、政治家ですからその人の専門的知見に耳を傾けるのは当然です。が、やはり、レイシズムとファシズムは違います。消費税ゼロを誰よりも力強く訴える山本太郎氏へのリスペクトはかわりません。が、「その目的のために、ときにはレイシストと同席する」という考え方に立つことはできません。〉

イデオロギーがない

 さらには、こんな発言も。

〈レイシズムとファシズムに加担する人から学ぶような姿勢の行きつくところに、「ジャパンライフの社長を総理が招く」というような、道理が引っ込む由々しき現実があるのだと考えます。〉

 ジャパンライフとは、医療機器のマルチ商法で、2017年12月、負債総額2405億円を抱えて倒産した。15年の安倍晋三首相の「桜を見る会」で山口ひろみ社長が総理枠で招かれ問題視されている。この問題と、レイシズムとファシズムにどのような関係があるのか。

〈ファシズムもレイシズムも、憲法の根本原理である「個人の尊厳」を踏みにじる思考であると同時に暴力である。
基本的人権の尊重、国民主権、平和主義が憲法の三大原則の日本社会において、レイシズムやファシズムは憲法を否定するものであり、憲法遵守の立憲主義に立つ政治家として許容し得ない。〉

 ずいぶんおどろおどろしいことを仰る石垣議員。当の高橋洋一氏はどう受け止めたのだろうか。

「私も同じ日にTwitterで、『私がレイシズムとファシズムということですが、何を根拠とされているのでしょうか教えていただけますか』と発信しました。けれども、彼女からは一切返事はありませんでした」

 と語るのは、高橋氏。

 同氏は東京大学を卒業後、大蔵省(現・財務省)に入省。理財局資金企画室長、内閣府参事官、総務大臣補佐官などを歴任し、第一次安倍内閣で経済政策ブレーンを務めた。消費税増税には反対の立場をとっている。

「私が、レイシズムとファシズムに加担しているなんて、今まで言われたことがありません。石垣議員とは会ったことも喋ったこともないのに、Twitterで何故あんな発信をしたのか全く理解できません。狐につままれたようなものです。これは立派な名誉棄損になりますよ」

 高橋氏によれば、元々自身は理系だから、変なイデオロギーは持ち合わせていないという。

「大学では、理学部数学科も出ています。今もイデオロギーはなく、データと数字だけで喋ったり書いたりしています。28日の研究会では、私のデータと理論に基づき、消費増税の必要性はないと説きました。消費税増税がなくとも、日本の財政が5年以内に破綻するのはわずか1%の確率でしかありません。消費税は今も5%でも大丈夫です、と説明しました。レイシズムもファシズムも関係ありません。なんで石垣氏はこんなことを言うのか、彼女に聞いてみてくださいよ」

 と、怒り心頭なのだ。

 消費税減税研究会の会合から2日後の30日、山本氏は三重県四日市での街頭演説で、高橋氏を講師にした理由を説明。彼を招いたのは、同氏が大蔵省時代、政府のバランスシートを作ったからで、そういう専門家の意見を直接伺う機会はなかなかないからだと語った。

 石垣議員の「レイシズムとファシズムに加担」という指摘について、山本氏は彼女の名前は伏せ、立憲民主党の女性議員から電話があり、22分間話したことを明かした。女性議員は高橋氏について、韓国に対していい発信をしていない。レイシズム、ファシズムだと話したという。それに対し、山本氏は、何をもってレイシズム、ファシズムというのか詳細はわからないが、高橋氏が韓国に対して批判的な意見を発信していることは知っている。ただ、講師の専門以外に与するつもりはなく、専門的知見は研究会の参考になると思っていると説明した。

 すると女性議員は、ヘイトスピーチ団体の人たちも消費税をなくせと言っている。そういう人も講師として呼ぶのかと質問。山本氏は、ヘイトスピーチを学ぶのなら呼ぶこともあるかもしれないが、そんなことはやるつもりもないし、それを良しとするつもりもない。次元の違う話だとし、大蔵省にいた高橋氏の話を伺うのは貴重な時間と言った。

 なお、石垣議員に、高橋教授が「レイシズムとファシズムに加担」と指摘した根拠を問うたところ、締切までに回答はなかった。少なくとも、石垣議員は自ら高橋氏にきちんと説明すべきである。

週刊新潮WEB取材班

2019年12月6日 掲載