予断を許さない状況が続く、自民党総裁を巡る今般の政局。あらゆる状況が日々流動する中で、確実なのは菅義偉総理と二階俊博幹事長の退任くらい。その二階幹事長の地元・和歌山3区では、新たな懸念が持ち上がっているのだという。

 地元県議によれば、

「二階さんも御年82歳。これまでも選挙が近づくたびに、後継者への“禅譲”が取り沙汰されてきましたが、次こそ三男の伸康さん(43)に選挙区を譲るのではという観測が強まっているんです」

 背景にあるのは、和歌山県の選挙区事情。今年6月に公表された国勢調査の速報値に基づき、次々回の衆院選から和歌山県の定数が3議席から2議席に減らされる見込みとなったのだ。

「和歌山ではかねて世耕弘成参院議員の衆院鞍替えが噂されていて、選挙区が変更になる際に世耕氏が手を挙げるのではないかと囁かれています。一方、二階さんのお膝元の御坊市では、一昨年の県議選で二階系候補が共産党候補に敗れるなど影響力の低下もみられる。支援者の間では、次の次での代替わりでは、世耕氏に議席を乗っ取られると危惧する声が上がっているのです」(同)

 後継に本命視される伸康氏は、数年前から地元でも秘書活動を行うなど、禅譲の態勢はすでに整ったとの見方もある。ところが、二階陣営の関係者は、

「二階さんには、心おきなく跡目を譲れない事情がある」

 と言い、こう続ける。

「確かに伸康さんは地元で活動されていますが、心配なのは、和歌山の二階事務所の責任者である長男の俊樹さん(56)なのです」

 俊樹氏は2016年の御坊市長選挙で周囲の反対を押し切って出馬し、敗北。これで後継者生命は絶たれたとみられているが、

「俊樹さんには地元の後援会を仕切っているのはこのオレだという自負があり、今でも自分こそが後継者だと思っている。そんなところへ二階さんが“三男への禅譲”をぶち上げたりすれば、俊樹さんは猛反発し、ともすればお家騒動が勃発しかねない」(同)

 当の二階氏は、そんな状況を見据えてか、

「周囲には“自分は議場で死ぬのが本望”と嘯き、禅譲説を煙に巻こうとしている。実際のところは、自分が出馬し続けるしかないという、苦しいお家事情が透けて見えます」(同)

 残された時間は、そう長くはないはずだが。

「週刊新潮」2021年9月16日号 掲載