昨秋の衆院選でも明暗を分けた、大物国会議員らの「世襲」。だが、世襲にすら踏み切れず周囲をヤキモキさせるのは、現職衆院議員で最高齢となった二階俊博・元自民党幹事長(83)である。

 地元記者が言う。

「今や、和歌山ではあらゆる県内政局が二階家の世襲問題につながるといわれる。それくらい、関係者は神経質になっています」

 今年12月に任期満了を迎える和歌山県知事選もしかり。5月23日に国民民主党の衆院議員で和歌山1区選出の岸本周平氏(65)が知事選への出馬を表明したが、

「この裏で糸を引いていたのが二階氏といわれる。彼は5選目に挑もうとしていた現職の仁坂吉伸知事に三下り半を突き付け、岸本氏に知事選での協力態勢を約束。実際、岸本氏は出馬表明に先立ち、二階氏を含む自民や公明の国会議員の元へあいさつに訪れています」(同)

 岸本氏擁立に動いた二階氏の姿は、地元でさまざまな臆測を呼ぶことになった。

「二階氏の地元・和歌山3区には自民党の世耕弘成参院幹事長が鞍替え出馬の意向を表明済み。二階家は手を拱いているとお家が断絶してしまう。そこで岸本氏の知事選出馬を巡っても“世耕氏が和歌山1区に立てば全てが丸く収まる”とか“いや、二階氏は自身の息子を1区に出すつもりでは”など、あくまで世襲を本線とする見立てが飛び交う事態に」(同)

血を分けた兄弟と思えぬほど険悪

 だが、地元の関係者はこれらの臆測をバッサリ。

「世耕氏の地元は3区に含まれる新宮市ですから、彼が1区から出ることはないでしょう。それに、世耕氏は知事選出馬の報告に来た岸本氏を慰留し、国民民主を離党して自身が所属する自民党安倍派に移籍することを提案してみせたとか。1区を狙っているなら説得なんてしないでしょう」

 ご子息の件も、

「出馬するとすれば公設秘書を務める三男の信康氏でしょうが、地元事務所の所長である長男の俊樹氏はこれに猛反対。両者の仲は血を分けた兄弟と思えぬほど険悪で、今年1月にあった地元首長の葬儀でも二人は離れたところに立って目も合わせようとしなかった。ここで無理に三男を出馬させれば刃傷沙汰に発展するのではないかと、みんなが心配している」(同)

 結局、和歌山1区の補選で漁夫の利を得そうなのは落選中の御仁だという。

「1区で岸本氏に敗れ続けた二階派の門博文前衆院議員ですよ。今月5日には石破茂氏を招いて決起集会を開く予定ですが、二階氏の了解無しにこんな会は開けない。二階氏はかねて“議場で斃(たお)れるのが本望”と言ってきましたが、後継者問題にケリをつけぬまま逝ってしまうつもりでは、と周囲も半ば呆れ気味です」(同)

「週刊新潮」2022年6月9日号 掲載