空回りを続けている

「黄金の3年間」到来と、もてはやされた参院選勝利からわずか4カ月。絶頂からの転落は相当にはやかった。岸田政権の生みの親とされる安倍元首相亡き後、首相が頼りとするのが自民党の麻生太郎副総裁。その麻生氏が伝えているメッセージとは?

「黄金の3年間と言われた時が、今となってはもう懐かしく感じられますね。それくらい時の流れははやい。あの頃、岸田首相は自身の決断にかなり自信を持ってきていたと思います。当時の二階俊博幹事長に匕首(あいくち)をつきつけたり、首相就任後、思われていた日程よりもはやめに解散したり。思い切ったことをやって、それなりに結果も伴っていたので選択は間違いなかったと信じても仕方ないわけですが」

 と、政治部デスク。

「しかし、参院選後からその決断が国民の反発を浴びることになります。安倍元首相の国葬の開催、内閣改造、その後の閣僚3人の更迭のタイミング、上昇しない新型コロナワクチン接種率……挙げればキリがないほど空回りを続けているように映りますね」(同)

茂木氏への不信感

「年内に何か動きがあるということはなさそうですが、年明け以降、政権運営の面で前途多難としか言いようがないですね。一番の問題は、国民の首相への期待がほとんど感じられないという点です」(同)

 それを裏返せば、「首相が何をやりたいのかはっきりと伝わってこない」ということと関係があるのだろう。

「そうですね。どんな企業でもそうですが、トップがやることというのは突き詰めれば『決める』ことですよね。その判断が間違っていれば、社員やステークホルダーの信頼を失うことになる。それと同じで、首相の決断にセンスが感じられず、”明後日の方向”になっているというのが手痛いと感じます」(同)

 そんな岸田首相の後ろ盾となっているのが、自民党の麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長だ。

「茂木氏は岸田首相より年上で宰相への思いを隠さないタイプで、岸田首相もそのことはちゃんと理解しています。どこかのタイミングで袂を分かつと言うか協力関係が崩れることは見越しており、心のうちを十分に明かしているとは言い難い」(同)

自分から辞めることはない

 その点、麻生副総裁には腹の内を見せられる安心感があるという。

「麻生氏は岸田首相のことを可愛がっていますね。“国民の声は気まぐれだし、メディアは世論に敏感で揚げ足取りばかりするものだ、そう深刻に捉えることはない”というような声掛けをしているようです。自分から辞めることはないし、その理由もないだろうというのが麻生氏のスタンスですね」(同)

 麻生氏自身、長期政権を築くことに失敗した人物なはずなのだが、それでもその声に岸田首相はかなり鼓舞されているとされる。

「トップはとにかく孤独ですからね。色んな人が色んな意見を吹き込んでくるんですが、その情報が確かなのか、その人にとって好都合だから伝えてきているだけなのか、その両方なのか、様々な場合がありすぎて信頼できなくなっていくと言います。その点、麻生氏は表裏がなさそうな感じでアドバイスをくれるので貴重なのではないでしょうか」(同)

 差し当って、岸田首相を支える主流派を脅かそうとする動きは特に見られない。今は大義がないと判断しているのだろう。

内閣改造の実現度

 岸田首相を巡っては「内閣改造を検討」と報じられたが、首相自身がすぐに否定するひと幕もあった。

「改造をなぜするのかと言うと、これまでの悪い流れを断ち切って世の中の見方を変え、結果として支持率を回復させるという狙いがあるからです。しかし、実際に改造をしたところで、そういうことが可能なのかというと極めて疑問です。官邸内でもそのような指摘があるようで、実際に改造に踏み切るか否かは微妙なところでしょうね」(同)

 その一方で、改造したとしても、新閣僚に様々な疑惑が持ち上がる可能性は否定できない。

「普段なら取るに足らないこととしてスルーされそうなテーマでも、国民がソッポを向いている状況だと、それこそ命取りになりかねない。実際、新たに総務相になった松本剛明氏にいきなり政治とカネの問題が持ち上がっているのが最たる例でしょう」(同)

 改造したいけどできない――。人心一新を図る改造も諸刃の剣ということなので簡単には実行できることではない。しかし局面を打開する妙案もない。そんな弱っている心にやさしく沁みる、麻生氏の声についつい耳を傾けてしまう、ということだろうか。

デイリー新潮編集部