いよいよ夏の甲子園、全国高校野球選手権記念大会の幕開けである。初戦は“オラが街”の代表、地元高校を応援しようというのが人情だ。だが、その学校、本当にあなたの地元の生徒なの?

 ***

 今年(2018年)の夏の甲子園は、記念すべき第100回とあって、例年よりも多い47都道府県の56代表校(東京、北海道、大阪府、埼玉、千葉、神奈川、愛知、兵庫、福岡の各都道県は、南北または東西の各代表校)が出場するとあって、各校の力の入れ方もハンパではない。この大会で名を挙げれば、大きな宣伝効果が見込めるのだ。

 ならば実力のある選手をよそから引っ張ってくるのが手っ取り早い。また、何としても甲子園に出場したいが、地元はレベルが高すぎるため、強豪校の少ない他県からでも、という生徒もいるだろう。

 それを責めるつもりは毛頭ない。しかし、そうしたチームを、高校野球ファンはこう呼ぶのだ、“外人部隊”――。

 そこで、夏の甲子園の主催者である朝日新聞の子会社・朝日新聞出版の発行する「週刊朝日 増刊(8月15日) 甲子園2018 第100回全国高校野球選手権記念大会」を参考に、全選手の出身中学校を調査。データはベンチ入りする18名の選手を基準に、外人部隊が多い順とし、同率の場合はレギュラーに地元出身者が少ないほど上位にしている(※編集部註:甲子園大会のメンバーが替わることもある)。

 では、外人部隊率の高いチームのベスト6を挙げていこう。

外人部隊ベスト6

●第6位:鳥取代表 鳥取城北高校:83.3%(外人部隊15名)

 1963年に創立した私立高校。3年ぶり5度目の出場。OBには地元出身の川口和久(元広島・元巨人:59)、兵庫出身の能見篤史(阪神:39)などがいる。また相撲部が強く、愛知出身の元大関・琴光喜(42)やモンゴル出身で暴行事件の被害者となった貴ノ岩(28)もOBである。
 部員数135名は県内随一の選手層の厚さを持ちながら2年間出場できず、今回もノーシードからのスタートだったが、1、2回戦をコールドで下すなど、試合ごとに力をつけて勝ち上がった。主将の片山隼くんはじめ3名が地元出身で、大阪と兵庫が6名ずつ、京都2名、奈良1名と関西勢が主体となっている。

●同率第2位:大分代表 藤蔭高校:88.8%(外人部隊16名)

 1950年に日田高等経理学校として開校した私立高校(85年より藤蔭に)。28年ぶり2回目の出場を果たした。OBには福岡出身の森章剛(元中日・元日ハム:39)、福岡出身の一岡竜司(広島:27)がいる。
 県大会全5試合に先発し、4試合で完投したエース市川晃大くんはじめ14名が福岡出身。ほかに大阪、奈良から1名ずつ。大分の2名はいずれもレギュラーで、福岡、佐賀も含めれば、およそ9割は九州出身のチームである。九州代表と捉えて応援することも可能であったが、残念ながら初日第1試合で星稜高校(石川)に敗れた。

●同率第2位:青森代表 八戸学院光星高校:88.8%(外人部隊16名)

 1956年創立の私立高校(13年に光星学院から校名を変更)。2年ぶり9回目の出場。OBには兵庫出身の坂本勇人(巨人:29)や大阪出身の北條史也(阪神:24)、その北條と高校でチームメイトだった大阪出身の田村龍弘(ロッテ:24)などがいる。
 今年は青森大会では準決勝までの4試合はすべて2ケタ安打のコールド勝ち。決勝を含めた全5試合で59安打46得点を誇る猛打のチーム。それを支えるのが、地元青森2名のレギュラーと大阪8名。そして岩手、福島、茨城、神奈川、滋賀、鳥取、徳島、沖縄からそれぞれ1名という混成外人部隊だ。

●同率第2位:岐阜代表 大垣日本大学高校:88.8%(外人部隊16名)

 1963年に日本大学の準附属として開校した私立高校。2年連続5回目の出場。OBには大阪出身で宮崎育ちの阿知羅拓馬(中日:25)や愛知出身の沼田拓巳(ヤクルト:24)などがいる。
 東邦(愛知)と大垣日大で監督歴50年以上、両校で春夏合わせ32回目の甲子園出場となり、優勝1回、準優勝3回の名将・阪口慶三監督が率いる。岐阜大会決勝では県立大垣商業を破って優勝。県大会全6試合では56安打に加え、12犠打、13盗塁を決めた猛打と機動力のチーム。20名中8名をお隣の愛知県勢が占め、石川2名、福井、兵庫、三重、和歌山、鳥取が1名ずつ。地元からは3名だが、レギュラーは捕手の日高敦貴くんのみだ。

●同率第2位:北埼玉代表 花咲徳栄高校:88.8%(外人部隊16名)

 1982年開校の私立高校。歴史は浅いが01年に夏の甲子園に初出場し、昨夏は埼玉県勢で初の優勝を果たした。今年は県史上初の4連覇を達成し6回目の出場となる。OBには東京出身の根元俊一(ロッテ:35)や地元出身の高橋昂也(広島:19)などなど。
 埼玉県から2代表が出場する今回は、北埼玉大会全6試合のうち4試合をコールドで勝ち上がる強さを見せつけた。北埼玉にほど近い栃木から2名、群馬1名。東京5名、神奈川3名、北海道1名、新潟1名、大阪2名、兵庫1名と比較的関東が多い。しかしながら埼玉2名(いずれも3年生)はレギュラーではない。埼玉愛の県民は、選手交代に期待しよう。

●第1位:島根代表 益田東高校:100%(外人部隊18名)

 その歴史は戦前の1930年に設立された益田家政学院にまで遡ることができるが、同学院の後進である益田学園高校と石見工業専修学校の後進である(私立)益田工業高校を統合し、益田東高等学校となったのは78年のこと。18年ぶり4度目の出場。OBには地元出身の渡辺伸彦(元阪神・元オリックス・元横浜:52)や三東洋(元阪神:39)がいる。
 校舎からグラウンドへの急な坂道は「甲子園坂」と名付けられているという。全校生徒319人のうち4割以上の138名を野球部員が占めるという学校にもかかわらず、県外出身者が大半を占め、ベンチに地元出身者はいない。18名中15名が大阪出身で、京都、兵庫、福岡から1名ずつ。島根県どころか中国地方出身者もいない、外人部隊100%のチームである。

 では島根県の方々はいったいどこを応援すればいいのだろうか。残念ながら、今回出場する他県の高校を見渡しても、ベンチ入りする島根出身の選手は見当たらない――。

 ちなみに島根大会は全39校で争われた。今回、地方予選の参加校は全3781校(連合チームは1校として数える)で、最激戦区は東東京の132校、最少は鳥取の24校である。“オラが街”の代表を応援したのはヤマヤマだが、あまりにも差がありすぎやしないだろうか。中国地方に外人部隊が増える理由のひとつだろう。

地元出身選手のチーム

 逆に“地元選手”だけ勝ち上がってきたチームを挙げてみよう。

○北北海道代表 旭川大学高校
○岩手代表   花巻東高校
○栃木代表   作新学院
○新潟代表   中越高校
○東愛知代表  愛知産業大三河高校
○熊本代表   東海大星翔高校
○沖縄代表   興南高校

 以上はいずれも私立高校ながら、地元出身者ばかりだ。

 一方、地元選手100%の公立高校は以下の通り。

○秋田代表   県立金足農業高校
○富山代表   県立高岡商業高校
○西兵庫代表  市立明石商業高校
○香川代表   県立丸亀城西高校

 といった陣容だ。

 やはり地元出身の選手を応援したくなるけれど、甲子園を目標に、不慣れな土地で一心不乱に野球に打ち込んできた外人部隊の意気込みは、地元生徒に勝るとも劣ることはない。

 記念すべき100回大会、全力で挑んでもらいたい。

週刊新潮WEB取材班

2018年8月7日 掲載