巨人「原監督」常軌を逸した「賭けゴルフ」(2/2)

 かつて一連の野球賭博事件で世間を騒がせた読売巨人軍。その指揮官である原辰徳監督と「賭けゴルフ」に興じていたと証言するのは、十数年前から一緒にラウンドしてきた50代の男性である。原監督とのラウンドは“いんちきラスベガス”ルールで行われ、掛け金の支払いは「現場精算」。玄人はだしの原監督を相手にする際には「毎回、手元に100万円ほど用意してプレーに臨んでいましたね」という。

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 実力差に加えて理不尽な“変則ルール”。そんな条件下でも、この男性はひたすら勝機をうかがっていたという。例えば、

「ある時、300ヤードくらいの短いパー4のコースで、原さんが1打目で残り70ヤードほど、フェアウェイど真ん中でバーディチャンスとなった。ラスベガスのルールでは相手のペアにバーディを取られると、こちらの一の位と十の位をひっくり返されるから、何とか阻止したかったのです」

 一計を案じた男性は、フェアウェイを歩きながらこんな話を切り出したという。

「『原さん、麻布にあるサウナに行ったら清原(和博)がいて、胸から足までびっしり刺青が入っていましたよ』と。当時はまだ彼の刺青は知られていなかったから、原さんも驚いて『ええっ、ウソだろ』って絶句していました。私が続けて『この目で見たから本当です。仮にも巨人の4番を打っていた男が、まずいんじゃないですか』と畳みかけたら、原さんは動揺し、珍しく次のショットはグリーンの奥までビューンと飛んでいってしまったのです」

 見事、心理戦を制したわけである。そんな監督はプレー中、しばしば“本業”についても言及していたといい、

「ドラフトで坂本(勇人)をハズレ1位で獲った後、千葉のゴルフ場でプレーしたことがありました。『今年は最悪。いいのが全然獲れなかったよ』とこぼしていたのですが、いまの坂本の活躍を見ると、原さんの眼もあてにならないと思いました。何でも、いい選手を獲るコツがあって、選手のお母さんのお尻を見るのだそうです。細いお尻はダメで、大きいお尻の母親の子は大成するとかで、『間違いない』と強調していました」

 またある時は、

「160キロ超の速球を投げる横浜のクルーンを巨人打線がまるで打てないので『今年は全然ダメでしたね』と聞いたことがあったのですが、原さんは『大丈夫。来年は任せておいて』という。すると、その翌年に巨人はクルーンを引き抜いた。“任せて”ってこういうことだったのかと、呆気にとられました」

 同じ頃、こんなやり取りもあったという。

「クライマックスシリーズで、リーグ優勝の巨人が2位の中日に3タテを食らって敗退した年のオフでした。私が『さすがに3タテはないでしょう』と、意地悪く水を向けたら、原さんは『落合さんがずるいんだ。わざとスタメンを中日スポーツの記者に漏らして、こっちがそれを掴んでオーダー組んだら、試合が始まって全然違うメンバーが出てくるんだよ』って。そんな情報を真に受けるのもお人好しだし、そもそも3タテの言い訳にはならないのですが……」

「500円以上は賭けない」

 そうした交遊が続くうち、前述のように2015年秋には野球賭博事件が発覚。球界全体を巻き込むに至ったのだが、原監督は同年のオフまで指揮官を務め、退任後の16年1月からは球団特別顧問に就いていた。この男性が振り返るには、

「当時は野球賭博のニュースで、10万20万という金額で大騒ぎしていましたが、監督と私のゴルフはそんなものではないのに……と、笑ってしまいました」

 率先して襟を正さねばならない監督自ら、常軌を逸した賭けゴルフを繰り返していたのだから、ギャンブルに寛容なチームの風土をすすんで醸成してしまったと指摘されても致し方あるまい。

 当の原監督に質すと、

「(賭けゴルフを)いつやるって? 俺、500円以上の賭けごとはしたことないよ。(ラスベガスというルールは)知るか、そんなもの」

 そう笑い飛ばすのだが、再び先の男性は、

「500円って……。何を言っているのでしょうか。普段の原さんとはケタが三つ違います。大体、私たちと回って、これまで1日で150万円ほど勝っていった日もあったのですから」

 と、呆れるばかり。巨人軍に尋ねると、

「原辰徳監督が知人と『ラスベガス』などといった高額な賭けゴルフをした事実は一切ありません。2015年秋の野球賭博発覚以後、当球団は賭け事を全面的に禁止しており、優勝旅行も含め、監督、コーチ、選手らが賭けゴルフをした事実も全くありません」(広報部)

 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士が言う。

「単純な金額ではなく、その人にとっての金銭感覚という尺度で測るべきだとは思いますが、50万円、100万円というのは問題にすべき金額であるのは確かです。また、嫌がるコーチを賭けゴルフに付き合わせていたのだとすればパワハラであり、総合的に考えるとこのまま何も社会的責任を負わなくていいのか、といった疑問は残るでしょう」

 そもそも度を越えた金銭を賭けるのは、賭博というれっきとした犯罪行為。実際に警察が賭けゴルフを摘発したケースもあるのだ。

 先だって発覚した黒川東京高検検事長の賭け麻雀では、レートの「点ピン」をめぐって「サラリーマン的な娯楽の範囲」「立場が違う。常習性もあり、金額の多寡に関係なく捜査、逮捕されるべき」などと侃侃諤諤の議論が起こった。訓告処分で終わった黒川氏に、世論調査では8割近くが「処分が甘い」と回答したのだが、1日で150万円を荒稼ぎする者が球界の盟主だ紳士だと標榜するのもまた、おこがましい限りである。

「週刊新潮」2020年7月2日号 掲載