ブラジルのスター、ネイマール(28)が日本代表の酒井宏樹(30)に差別的な暴言を吐いたとして物議を醸した。ただこの騒動、いくつもの“?”が付くのだ。

 9月13日に行われたフランスリーグでの一戦だった。パリ・サンジェルマンFWネイマールが試合中、マルセイユDF酒井に対し「クソ中国人」と言い放ったというのだが、素朴な疑問として、そもそもそれは何語だったのだろうか?

「昔からピッチでは絶えず罵声が飛び交っています」

 とはサッカーライター。

「基本的に彼らは試合が行われる国の言葉で罵ります。相手に伝わらないと意味ないので。Jリーグだと日本語。来日外国人選手が真っ先に覚えるのは“バカヤロー”“コノヤロー”です」

 ならばネイマールはフランス語で罵ったのか、というとそうではなかった。

「chino(チーノ)de(デ)mierda(ミエルダ)」とスペイン語の罵声を浴びせたというのだ。なぜか?

「相手に伝えるつもりはなく、独り言だったのでしょう。実は、この発言を問題視したのは酒井ではなく、スペインメディアでした」

 ご丁寧にその瞬間の動画を読唇術で解析。たしかに、動画を見る限り、ネイマールは酒井の背に向けてそのように口を動かしている。

 そこで新たな疑問が生じる。なぜスペインメディアがしゃしゃり出てくる?

「ネイマールが、マルセイユのスペイン人DFゴンサレスに“暴言を受けた”とSNS上で告発したのが発端だったんです。これに対して、スペインメディアが“お前もしてただろ”と」

 ネイマールはかつてスペインリーグのバルセロナでプレーしていたはずだが?

「スペインをソデにしてフランスに行ったネイマールの人気はガタ落ち。報道は彼への嫌がらせですね」

 そもそも酒井はスペイン語を理解したのか? 日本人の酒井に「中国人」と言うことが侮辱になるのか?

「“チーノ”の直訳は“中国人”ですが、裏の意味は“下手でラフプレーが多いアジア人”。これは海外でプレーする選手の常識です。昔は“ジャポネーゼ(イタリア語で日本人)”が“下手くそ”という意味で使われましたが、日本が強くなって使われなくなりました」

 侮蔑を認識したはずの酒井だが、試合後“差別発言はなかった”と否定。そこで最後の疑問。なぜ酒井はネイマールを庇(かば)ったのか?

「試合結果は1―0でマルセイユの勝ち。酒井はネイマールを完封しました。彼にはネイマールの言葉は“負け犬の遠吠え”にしか聞こえなかったでしょう」

 差別を意に介さない余裕を見せた酒井は、格別!

「週刊新潮」2020年10月15日号 掲載