コロナ禍で前代未聞のシーズンとなった2020年のプロ野球。開幕の遅れや強行日程で各チームが苦しむ状況の中、例年行われている選手補強も特別な意味を持つことになった。ペナントレースの行方を左右した各球団の補強の成否を振り返る。

 新戦力として高い期待を抱かせながら裏切った筆頭格が、バリバリのメジャーリーガーの触れ込みでオリックスに入団したジョーンズか。メジャー通算282本塁打の実績、オールスター出場5回、前年まで11年連続2ケタ本塁打と正真正銘のホンモノとして来日。歴代外国人選手でも最大級の期待を受けたが、終わってみれば87試合出場で打率.258、12本塁打、43打点と、助っ人外国人選手としては平均点以下の成績に終わった。

 新型コロナウイルスの影響もあって調整不足で、開幕時にも体は明らかに太め。特に外野守備でゴールドグラブ賞4回の実績は見る影もなかった。足腰の不安から全力疾走もままならず、話題となったのは、9月10日に記録した日米通算2000安打ぐらい。10月25日に下半身のコンディション不良の治療で登録抹消となり、そのままシーズンを終えた。2年約9億円プラス出来高の高額契約で目玉補強となるはずだったが、来日1年目は最下位に沈んだチームの象徴的存在となってしまった。

 国内移籍組では、ヤクルトからソフトバンクに移籍したバレンティンが60試合出場で打率.168、9本塁打、22打点と、自身の日本キャリアでも最低クラスの成績に終わった。

 前年まで日本で9年間プレーしたバレンティンは、今季から外国人枠の縛りもなくなったが、打撃不振で二軍落ちも余儀なくされた。昨年に国内FA権を取得したが、権利を行使しないまま11月末まで去就の判断を引き延ばした末に12月に退団し、2年総額10億円でソフトバンクに移籍。金銭面での問題が退団の理由とされたが、大枚をはたいたバレンティンが不振でもチームは4年連続の日本一に輝いた。不遇な状況の中、自身のSNSで意味深な投稿をしてファンの間でも物議を醸したが、同情する声は少なかった。

 一方、シーズン途中のトレードも含め、地味ながら効果的な補強に成功したのが2年連続でセ・リーグを制した巨人だ。中継ぎの一角として7月14日に東北楽天からトレードで移籍した高梨雄平が44試合に登板して防御率1.93、22ホールドポイントの活躍を見せた。

 もう一人、昨オフに日本ハムから育成契約で入団した田中豊樹も7月26日に支配下登録されて31試合に登板した。今季の巨人のブルペン陣は、2人の他にも昨季途中に日本ハムから加わった鍵谷陽平がチーム最多となる46試合登板するなど、パ・リーグから移籍した選手の活躍が目立ったが、移籍後15試合連続で無失点、9月初旬からも16試合連続無失点を記録した高梨は、影のMVPとも言える働きだった。

 パ・リーグでは、その巨人から9月7日にロッテにトレード移籍した沢村拓一が移籍成功組だ。巨人では制球難からスランプに陥り、野球以外の騒動で世間を騒がせたこともあり、フロントや首脳陣の信頼を失った。今季も開幕から不振が続き、防御率6点台で最後は先発でも起用されたが、結果が残せずシーズン途中でのトレードとなった。だが、移籍の翌日に一軍登録され、その日のパ・リーグ初登板で三者三振の快投でホールドを記録すると、その後は22試合登板で失点はわずか4試合のみ、防御率1.71の好成績でチームの2位、クライマックスシリーズ(CS)進出の原動力となった。

 チームの順位にはつながらなかったが、楽天も投打で主力クラスの選手補強に成功。投手では、金銭トレードでロッテから移籍した涌井秀章が華麗なる復活を果たした。開幕から登板9試合で8連勝を記録した涌井は、最終的に16年以来の2ケタ勝利となる11勝をマークし、千賀滉大、石川柊太(ともにソフトバンク)と並ぶ最多勝のタイトルを獲得した。

 野手では、昨オフのFA戦線で巨人との争奪戦になった鈴木大地が120試合フル出場を果たし、打率.295と安定した成績を残した。主に2番で起用されたが、クリーンアップの一角を任されることもあり、4番でも4試合起用された。序盤戦から打率3割台をキープし、8月には月間打率.394の活躍で首位争いをするチームの原動力となった。打撃面では終盤にやや失速したが、正三塁手として、さらには一塁も守るユーティリティーぶりも健在で、チームの中心的存在になった。

 最後に、球団が本気で“補強”としての獲得だったかどうかあやしいが、14年ぶりの古巣復帰となる埼玉西武に移籍した松坂大輔は、7月に頚椎の手術を受け、今季は一、二軍ともに公式戦未登板に終わった。阪神の藤川球児など、「松坂世代」と呼ばれた同期の選手が次々と現役引退する中、本人は来季も現役続行を希望し、球団も契約の意向を示している。令和も3年目を迎える来季、「平成の怪物」が三たびの復活劇を見せるか。コロナ禍の終息とともに期待したいところだ。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年12月24日 掲載