新型コロナウイルスの影響でさまざまなことが例年どおりではなかった2020年のメジャーリーグだが、とにもかくにもシーズンは終了。すでにストーブリーグに突入し、日本からもメジャー移籍を表明する選手らが出ている。なかでもとりわけ注目を集めているのが、巨人からポスティングシステムでのメジャー挑戦を表明した菅野智之だ。

 巨人の絶対的なエースとして君臨してきた菅野は、沢村賞とリーグMVPに2回ずつ選出。最多勝3回、最優秀防御率4回、最多奪三振2回にゴールデングラブ賞4回と各タイトルを獲得し、国際舞台でもワールド・ベースボール・クラシック(WBC)やプレミア12で日本代表としてプレー経験が豊富にある。

 さて、MLB各球団や現地の評価を確認すると、今オフの移籍市場では先発投手としてはサイ・ヤング賞右腕トレバー・バウアー(前レッズ)に次ぐ2番手グループと位置付けているメディアが多い。これはマーカス・ストローマン(メッツ)とケビン・ガウスマン(ジャイアンツ)がそれぞれ旧所属球団と再契約済みということもあるが、ヤンキースからFAとなった田中将大とほぼ同等の評価とも言える。

 実際に菅野に関心があるとみられる球団名もちらほらと挙がっている。パドレスのジェイス・ティングラー監督は菅野について「マウンドで恐れを知らないようにみえる」と絶賛し、「多くのチームが、菅野はメジャーで長期にわたって活躍できる投手だと確信している」と語っている。

 米紙ニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマン記者はスカウトの話として「菅野はメジャーでも強力な先発3番手になれる」と評価。バウアーのような絶対的なエースとまではいかなくとも、先発ローテーションで確実に仕事をこなしてくれる投手だとみている。

 そもそも、先発投手の補強が不要だという球団は存在せず、あとは補強の優先順位と財政事情が菅野獲得を許すかどうかだ。では、実際に菅野がメジャー移籍した場合の年俸はどのくらいになるのだろうか。

 日本人投手がメジャー移籍した際の契約としては田中がヤンキースと結んだ7年1億5500万ドルが最大だが、これは田中が25歳の時に実現したもの。31歳の菅野でそこまでの大型契約は現実的ではない。

 年齢的に参考になりそうなのは33歳でフリーエージェント移籍した黒田博樹だろうか。黒田は3年3530万ドルでドジャースと契約している。実績的にも年齢的にも現時点の菅野は当時の黒田よりも条件的に上ではあるが、今季はコロナ禍で緊縮財政が不可避。その点を加味すると3年3000万ドル(約31億2000万円)あたりが妥当かと思われる。

 では、実際に菅野獲得に動きそうな球団はどこになりそうか。前述のパドレスは今季途中に獲得したマイク・クレビンジャーがトミー・ジョン手術で来季絶望。今季活躍したディネルソン・ラメットも故障を抱えており、先発投手の確保は急務となっている。気候も良く日本に近い西海岸を地元とし、本拠地ペトコ・パークは投手有利なスタジアム、さらにプレーオフも狙える強豪と条件はかなり揃っている印象だ。

 同じ西海岸を地元とするエンゼルスも菅野獲得に動く可能性がある。こちらも二刀流での再復帰を目指す大谷翔平を含めても先発陣は手薄。さらに導入がうわさされる6人ローテーションを本当に採用すれば、負担を軽減しつつメジャーに慣れていくことができるだろう。ただし、6人ローテということは従来の5人に比べて登板機会が減る可能性も高く、タイトル争いや出来高ボーナスの面で不利になるという側面もある。

 田中がFAとなったヤンキースはどうか。今オフの最優先課題は首位打者D.J.ルメーヒュー内野手との再契約であることは異論の余地がないが、田中だけでなくJ.A.ハップ、ジェームズ・パクストンもFAで抜けた先発投手の確保も必須事項ではある。とはいえ、メジャーでは未知数の菅野より気心も知れている田中との再契約の方があり得そうだ。

 日本人選手と縁の強いレッドソックスとマリナーズは、チーム状態が再建モードにあるためポスティングで大枚をはたいてまで菅野獲得に動くかどうかは微妙。それならば新オーナー就任で補強資金の豊富なメッツ、積極的な補強が目立つホワイトソックスの方が可能性は高い。

 すでにポスティングを申請済みの菅野と各球団の交渉期限は現地時間で来年1月7日まで。コロナの影響で来季も予定どおり開幕できるか不透明なことなどもあり、巨人に残留する可能性もゼロではないが、「メジャーリーガー・菅野」がどのユニホームにそでを通すことになるのか、成り行きを見守っていきたい。

週刊新潮WEB取材班

2021年1月2日 掲載