“東京五輪でトクした人ランキング”があるとしたら、この人が第1位ではないか。

 東京五輪開催中に行われた国際オリンピック委員会(IOC)選手委員の選挙で日本人初の当選を果たしたフェンシングの銀メダリスト、太田雄貴氏(35)だ。

 スポーツ紙デスク曰く、

「参加全選手による投票で、改選枠4に対して30人が立候補、と狭き門でした」

 この選挙には、室伏広治スポーツ庁長官(46)が過去3回出馬しているのだが、

「陸上というメイン競技で長年活躍し、薬物汚染選手を制して金メダル獲得というクリーンなイメージがあるにもかかわらず、当選は叶いませんでした」(同)

 では、なぜ太田氏は当選できたのか。

「フェンシングは日本ではマイナーですが、第1回大会から続いている伝統ある競技ですし、ヨーロッパでは貴族のスポーツとして一目置かれていますから。バッハIOC会長も元フェンサーですし。東京開催のため通常より日本人選手が多かったことと、男子エペ団体が金を獲ったことも追い風になりました」(同)

 そもそも“選手委員”はどれほど偉いものなのか。

「15人いる選手委員の意見は“アスリートの総意”として世界に発信される。東京五輪開催の際も、彼らが同意したことで“選手たちがやりたがっている”とIOCは主張できたんです」

 と、日本オリンピック委員会(JOC)関係者が語る。

「いま彼は国際フェンシング連盟の副会長ですが、選手委員を経験することで箔が付き、会長の椅子も近づいた。選手委員の任期は28年ロス五輪までで再任はありませんが、国際連盟会長になればその限りではない。選手委員を経て国際連盟会長になれば、紛れもなく国際スポーツ界の出世コース。当選はある意味、金メダル以上の快挙といえます」

 出世したアスリートといえば、参議院議員で前五輪相の橋本聖子・東京オリパラ組織委員会会長(56)や山下泰裕JOC会長(64)、先の室伏長官が思い浮かぶが、

「皆さん、“文教族のドン”こと森喜朗元首相の覚えめでたいんですが、太田さんはそうでもなく、組織委やJOCでも要職を任せられていません。彼は上にこびへつらうタイプではないので、可愛げがないのでしょう。選手委員就任セレモニーがあった閉会式に出席した際も、大先輩であるバッハ会長の冗長なスピーチについて“海外選手たちがギブアップ”なんてツイートしてましたし」(同)

「週刊新潮」2021年8月26日号 掲載