親方として上々の船出

 横綱・照ノ富士の優勝で幕を閉じた大相撲夏場所。土俵の外に目を転じると、こちらには元横綱の姿が。昨年現役を引退し、間垣親方となった白鵬である。千秋楽の前日、会場でとあるトラブルが起こったが、その際の白鵬の対応は――。

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 昨年11月の九州場所で“場内警備デビュー”。相撲協会の濃紺のジャンパーも板についてきた白鵬が、今場所からは広報部に異動。NHKのスポーツ番組でコメンテーターを務めたり、相撲協会のトークイベントやYouTubeチャンネルに登場したりと、現役時代の無軌道ぶりを思えば、“新人”親方として上々すぎる船出といえる。そんな親方に、緊張の色が走ったのは千秋楽の前日、5月21日。担当記者によると、

「取組が終わって、順番にお客さんを帰す間、土俵のまわりを親方たちが囲みます。お客さんが土俵に上がらないようにするためで、間垣親方もそこにいました」

担架が見えなくなるまで見送り

 そこへ観客の中から急患が出たため、警備スタッフが集まってきた。

「はじめは“何事だろう”と遠巻きに見ていましたが、救急隊員がやってくると、親方も現場へ駆けつけました。心配そうな顔でしゃがみこんで様子を見たり、救急隊員に声をかけたりして、担架で運ばれて見えなくなるまで見送っていましたよ」

 師匠の宮城野親方は8月に65歳で定年を迎え、白鵬は跡を継ぐと見られている。現役時代は、かち上げや張り手など乱暴な取り口が問題視されることもあった白鵬。引退の際には、「自覚ある行動を取るように」といった異例の誓約書付きでの年寄承認となった。

 今回はその“自覚”を見せつけたシーンといえるのかもしれない。

撮影・本田武士/JMPA

「週刊新潮」2022年6月2日号 掲載