世界各地を回り続けるうちに、日本のルールなどどうでもよくなってしまったのか。元サッカー日本代表の本田圭佑(36)である。先月、日本では無登録の暗号資産取引所のアンバサダーに就任していたのだ。堂々と自身のTwitterでも紹介しているが、このような広告はれっきとした資金決済法違反である。

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「Web3に投資しまくってたら…」

〈ランドセル軽くしたら批判って。そもそもランドセルじゃなくてもいいやん。/好きなカバン持っていけばいいよ。〉

 6月11日、Twitterでこうつぶやいた本田。いま話題になっている、ランドセルが小学生に健康被害を与えている危険性についての意見である。

 だが、子供たちの心配をする前に、まず己の社会的責任について振り返るべきであろう。5月20日のツイートには、彼の遵法精神を疑う記述がある。

〈Web3に投資しまくってたらこんなオファーをもらっちゃいました 今後、円安や景気後退などの不安が大きくなるほど、Web3への本質的な価値に目が向けられていくと思ってます。〉

 Web3とは、ざっくり言うと、ブロックチェーン信者たちが唱えている「次世代インターネット」のこと。問題なのは、このツイートに本田の写真とともに添付されている「Bitget Japan」という会社の広告である。

金融庁に無登録

〈アンバサダー契約締結のお知らせ/世界的に有名な日本人サッカー選手である本田圭佑選手と長期的なパートナーシップを締結しました。/本田圭佑選手と手を取り合って、日本コミュニティを築いていきます/今後のBitgetに乞うご期待ください!〉

 ビッグになったサッカー選手が企業の広告塔として稼いで何が悪い――。彼のファンはこう思うかもしれない。だが、この広告、日本では“イエローカード”なのである。暗号資産に詳しい専門家が語る。

「世界では暗号資産が大ブームになっていますが、日本は規制が厳しいことで知られています。先日も時価総額4兆円とも言われた韓国の暗号資産『ルナ』が1週間で99%も大暴落したニュースが報じられましたが、このような投機的な投資から利用者を守るためです。金融庁の認可を得ていない暗号資産取引所は、日本では営業活動はできません。Bitget社は無登録の業者です」

刑事罰の対象

 ホームページによるとBitget社は2018年にシンガポールで設立。アメリカとシンガポールで認可を受けている。現物取引所としては中堅だが、デリバティブ取引所の方は、一日あたり取引量1.7兆円にも達する世界8位の大手。専門家によれば、ギャンブル性の高い取引が行われているという。

「証拠金(レバレッジ)取引は20倍まで可能。リスクも20倍ということです。なお、日本の取引所は金融庁の規制で一律最大2倍までです。実名も分からない『プロ投資家』の直近成績だけ見て、自分のお金をそっくり預ける『コピートレード』という機能を設けている点もリスキーな取引所と言えるでしょう。顧客に基本的な知識やリスクを説明する資料もほとんど出していません。金融庁はここ数年、個人トレーダーのリテラシー強化に努めており、日本の取引所はリスクを正しく理解できるガイドを徹底しています」

 金融庁に尋ねると「個別の事案には答えられない」としながらも、このように話した。

「無登録の取引所がホームページで広告を出しているときは、日本国内に向けているものかどうかを判断します。日本語のホームページがあって、日本人とも取引しますと言っているのであれば違法と言えます。違反が疑われる業者にはまず照会をかけ、違反が確認された場合は警告を出してホームページで公表します。無登録営業は刑事罰の対象となりますが、ほとんどが海外の業者のため罰することが難しい状況となっています」(暗号資産モニタリング室)

フォロワー100万人のインフルエンサー

 同社の広告には、〈日本人ユーザー限定 入金して最大500USDTを獲得しよう!〉なんて文言も見受けられる。いまのところ金融庁が公表している違反リストに載ってはいないが、今後、加えられる可能性は十分に考えられる。

 なぜ、本田はこんな違法業者の広告塔になってしまったのだろうか。周辺は、「個人事務所に所属しているので、リーガルチェックが甘かったのではないか」(サッカー関係者)と指摘する。本業のサッカーはどうかというと、昨年、リトアニアリーグでプレイをしたのが最後。今はどのチームにも所属していない。一応、現役選手の扱いにはなってはいるが、

「実際のところは投資家でありインフルエンサー。Twitterのフォロワー数は100万人を超えている。彼の影響力に期待して、このような企業案件がどんどん舞い込んでくるわけです」(同)

事務所は取材に…

 本田の所属事務所「ホンダエスティーロ」に見解を聞いたところ、文書で回答が来た。

〈問い合わせいただいた件に関しまして、 関係各所に確認した所、本田圭佑の肖像を使用した日本での勧誘行為にとらえかねない表現が含まれた事が判明しました。今後関係各所と協議をした上で、誤解をあたえないように改善に努めてまいります〉

 人にものを勧めることには責任が伴うはずだ。投資話であれば、なおのことである。影響力のあるスポーツ選手として、もっと自覚を持って欲しい。

デイリー新潮編集部