身長189cm、体重91kgの大型スラッガー

 全国高校野球選手権の地方大会が6月18日、49地区の先頭を切って沖縄で開幕した。ドラフト候補となる選手にとっては最大のアピールの場となるが、今年は1位指名が確実視されるような目玉候補は“不在”という印象を受ける。その一方で、早くから注目を集めているのが、2年生の選手たちだ。【西尾典文/野球ライター】

 特に、2年生ながら高校通算71本塁打(6月22日時点)を放っている佐々木麟太郎(花巻東・一塁手)の知名度が高いが、それ以外にも、来年のドラフト戦線を沸かせる可能性の高い選手は少なくない。今回は今夏にぜひ注目してほしい“金の卵”について、クローズアップしてみたい。

 佐々木と同じ左の大型スラッガーで楽しみな選手が、真鍋慧(広陵・一塁手)だ。1年夏から4番を任されると、秋の明治神宮大会では3試合で15打数8安打、1本塁打の大活躍で、チームの準優勝に大きく貢献した。

 今年3月の選抜高校野球では、チームは2回戦で敗れたものの、2試合で7打数4安打と見事な成績を残した。身長189cm、体重91kgという堂々とした体格で、ついた異名は“広陵の(バリー)ボンズ”。軽く振っているようでも、打球の速さや飛距離は、高校生離れをしており、内角をさばく上手さを兼ね備えている。

「佐々木(麟太郎)に比べると、打ち方に癖がないのがいいですよね。体が大きくてパワーもありますけど、バットコントロールが良くて、ミート力が高いです。俊足というわけではありませんが、ベースランニングのスピードがありますし、サードや外野も守れるんじゃないですかね。そういう意味では、ファーストしか守れない佐々木よりも、選手としての幅が広いと思います。広陵は大学、社会人に進む選手が多いですけど、プロ志望ということになれば、当然来年のドラフト候補になってくるでしょう」(中国地区担当スカウト)

とても2年生とは思えないレベル

 スラッガータイプの選手では、明治神宮大会、選抜でも佐々木、真鍋とともに注目された佐倉侠史朗(九州国際大付・一塁手)、同じ九州で早くから注目を集めている明瀬諒介(鹿児島城西・一塁手)、強打の智弁和歌山で4番を任されている青山達史(外野手)なども楽しみな存在だ。

 続いて、プロから需要が高いショートを守る有力選手を見ていこう。昨年の夏の甲子園で逆転サヨナラ満塁ホームランを放つなど、鮮烈な活躍を見せた緒方漣(横浜)の知名度が高いが、もう1人来年の有力候補となりそうな選手が山田脩也(仙台育英)だ。

 軽快なフットワークとたくみなグラブさばきは、とても2年生とは思えないレベルにあり、投手としても140キロ以上のスピードを投げる強肩が光る。ショートの守備は、現在の3年生も含めて、高校生でトップクラスだろう。打撃は、昨年秋までは下位を打っていたが、この春は力強さが出てきて、上位を打つことが増え、春の県大会決勝の東北戦で、ホームランを含む3安打の活躍を見せている。さらに、パワーがついてくれば、高校からのプロ入りも見えてくる。

報徳学園では小園海斗以来の大物

 捕手で筆頭候補となりそうなのが、堀柊那(報徳学園)だ。地肩の強さ、フットワークともに抜群のものがある。2.00秒を切れば強肩と言われるイニング間のセカンド送球タイムでは、楽々と1.8秒台をマークした。

 低い軌道で、一直線にセカンドまで届くボールの勢いは、高校生ではなかなか見られるレベルではない。打撃面をみると、近畿大会の智弁和歌山戦ではホームランを放つなど、パンチ力も十分だ。

「ポジションは違いますけど、報徳学園では小園海斗(現・広島)以来の大物ではないでしょうか。入学した時からスローイングは抜群で、2年生になって、さらに良くなったように見えます。まだ少しプレーが雑で慌てるところがあるので、課題はそのあたりの丁寧さですね。細かい部分をしっかり鍛えて、落ち着いてプレーできるようになれば、十分、高校からプロ入りを狙えると思います」(関西地区担当スカウト)

今夏の大ブレイクに期待がかかるサウスポー

 最後に投手。今春の選抜優勝に大きく貢献した前田悠伍(大阪桐蔭)が早くから注目を集めている一方で、この春に急浮上してきたサウスポーが東松快征(享栄)である。

 3月の練習試合では、選抜出場予定だった京都国際(部員の新型コロナウィルス感染で出場辞退)を相手に6回を投げて自責点0の好投。春の県大会では、最速149キロを記録したという。6月に行われた天理との招待試合でも、最速147キロのストレートを武器に見事なピッチングを見せている。たくましい体格から勢いのあるボールを投げ込むパワーピッチャーで、緩いカーブなど変化球のコントロールも悪くない。この夏に大ブレイクが期待できる逸材だといえる。

 このほか、140キロ台後半をマークしている宮国凌空(東邦)、1年時から140キロを超える大型右腕として評判のハッブス大起(東北)、小柄ながらスピードでは九州ナンバーワンの呼び声が高い松石信八(藤蔭)などもスカウト陣から注目を集めている。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部