来年3月に行われるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に2人の日系メジャー選手が招集される。カージナルスのラーズ・ヌートバー外野手(25)とガーディアンズ(旧インディアンス)のスティーブン・クワン外野手(25)だ。

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 侍ジャパンのメンバーに、日系メジャー選手が参加するのは初めてのことだ。

 栗山英樹監督は8月にアメリカを視察、日本代表資格を持つ選手を探していた。その目にとまったのが、ヌートバーとクワンだった。

 ヌートバーはカリフォルニア州エルセグンド出身で、母親が日本人。一方、クワンはカリフォルニア州ロスガトス出身で、母方の祖父母が山形県出身の日系アメリカ人である。

デビュー4試合で15出塁

「クワンは、今季メジャーデビューを果たしたばかりですが、守備が素晴らしい選手です」

 と解説するのは、メジャー評論家の友成那智氏。

「守備範囲が広くて、ルーキーなのにゴールドグラブ賞を受賞しています。身長175センチと小柄ですが、三振が少なくて、打率は2割9分8厘、出塁率は3割7分3厘をマークしています」

 実際、デビューから116球空振りがなかった。そして、1901年以降最多となるデビュー4試合で15出塁という記録も達成している。4月は打率3割5分4厘、打点7を記録し、「ルーキー・オブ・ザ・マンス」を受賞した。

「ボール球には手を出さないので、ピッチャーに多くの球を投げさせることのできる選手です。WBCは、球数の制限が設けられているので彼の起用は非常に意味がある。出塁率の高いオリックスの吉田正尚の代わりに使える選手ですね」

 彼が所属するガーディアンズは、今季4年ぶりに地区優勝を果たした。

「ガーディアンズは、打線が繋がらなくて思うように得点ができなかったのですが、クワンが入ったことで打線の繋がりが良くなりました」

野球とアメフトの二刀流

 クワンは、少年時代からイチローに憧れていた。マリナーズ、ヤンキース、マーリンズでのプレーを毎日のようにテレビで見ていたという。

「イチローのように、状況によってバッティングを変え、バントで出塁することも可能です。WBCでは決勝ラウンドなどで1点が欲しい時、彼のような選手は必要でしょう」

 ヌートバーはどうか。

高校時代は野球とアメフトの二刀流のスター選手だった。身長190センチ、体重は95キロだ。野球では3度リーグMVPに。アメフトではクオーターバックとして2度リーグMVPに選出された。

 2018年にカージナルスと契約し、マイナーリーグでプレーしていた。2020年は新型コロナの影響でマイナーリーグの試合が中止になった時、航空宇宙産業関連の企業で働いていたこともあった。

メジャーデビューは2021年で、打率2割3分9厘、ホームラン5本、打点15を記録。今季は打率2割2分8厘、ホームラン14本、打点40だった。

「彼は、頭脳の明晰な選手です。父親はカリフォルニア工科大学出身で、交換留学生で同大学に来ていた日本人女性と知り合って結婚したのです。彼は学習能力が高く、同じ失敗を繰り返さない選手です」

 投手の配球を分析するのが得意だという。

「今季の出塁率は3割4分ですから、クワンと同じく選球眼がいいと思います。相手投手のデータを徹底的に分析するので、狙い球を絞って打つタイプです。なんでも簡単に打つフリースインガーではないので、代打で使っても面白いと思います」

 栗山監督は2人の選球眼の良さに目を付けたようである。

デイリー新潮編集部