「今年は『月刊バスケットボール』の創刊50周年。それまでにこんな夢みたいなことが起きるなんて……」

 と感慨深げなのは同誌初代編集長の島本和彦氏。“夢みたい”とは、先頃、八村塁(25)がロサンゼルス・レイカーズに移籍したことにほかならない。

「NBA30チームのなかでも、西のレイカーズと東のボストン・セルティックスは、ともに最多優勝回数17回を誇る名門。スターが多く輩出し、人気面でも群を抜いています。そこに八村君がいるなんて……」

 レイカーズのスターといえば、レブロン・ジェームズ(38)。年収は1億2120万ドル(約158億円)に及び、米誌「フォーブス」が昨年発表したスポーツ選手長者番付では、メッシに次ぐ世界2位だ。1月25日に行われた八村のデビュー戦では、そんなレブロンから彼がパスを受けてシュートを決めたり、逆にアシストしたりするシーンも見られた。

年26億円の契約となる可能性も

 もっとも、レイカーズは今、西地区13位(2月7日時点)に低迷中。八村を獲得したワケは?

「スターばかりでは勝てないのがバスケ。自分を殺せる選手がいると強くなるんですが……。その点、八村君は真面目でコツコツタイプなので、うってつけです」

 むろん八村にとっても飛躍のチャンス。下世話な話、収入面でも夢が膨らむ。

「シーズンチケット契約が多く、収入が安定しているレイカーズは、選手の年俸も高めです」

 現地報道では、今季626万ドル(約8億円)の八村の年俸は、活躍次第で複数年契約の年平均2千万ドル(約26億円)に急上昇するとも予想されている。

戦力として必要だと評価

 一方、サッカー界にも夢のある話が舞い込んだ。

 スペイン・バルセロナの獲得補強リストに、独フランクフルト所属で日本代表MFの鎌田大地(26)の名前が挙がっている、とスペイン紙「ムンド・デポルティーボ」が報じたのだ。

 説明するまでもなく、バルサといえば、かつてはメッシやイニエスタらスターを擁した名門中の名門だ。

 八村と違い、こちらはまだ“候補”の段階だが、

「世界的ビッグクラブのなかでも、バルサとレアル・マドリードの2クラブは別格。その補強候補に入っただけでもすごいことですよ」

 とスポーツ紙サッカー担当記者が目を輝かせる。

 同じく日本代表MFの久保建英(21)も、バルサ下部組織に入団し、その後、レアルと契約を交わしたが、

「有望な若手を安く買って、他クラブにレンタルに出してレンタル料を稼いだり、高値がつけば転売したり、といったコマにすぎなかった。実際、久保はレアルのユニホームを着てプレーしていませんし。でも、鎌田は違う。レギュラーは難しくても、サブメンバーとして、戦力として必要だと評価されているのです」

格付けサイトで日本人1位は鎌田

 ただ、にわかサッカーファンにとって、鎌田の名はあまりピンとこないというのが正直なところ。W杯カタール大会で2得点を挙げた堂安律(24)や、超人的な活躍を見せた三笘薫(25)の方が格上に思えてしまう。

 だが、選手の市場価値(移籍先が所属元に支払う違約金)を格付けするサイト「トランスファーマーケット」で、日本人1位は3千万ユーロ(約42億円)の鎌田。堂安は1500万ユーロ(約21億円)、三笘は850万ユーロ(約12億円)にとどまっている。

 スポーツライターの大塚一樹氏に聞いても、鎌田の金額は妥当と見立てる。

「バルサは、ボールを保持しながらゴールをこじ開けるポゼッションサッカー。一方、W杯本大会の日本代表の成功はカウンターサッカーによるものなので、そこで持ち味を発揮できなかった鎌田のパフォーマンスは気にならない。それより、昨年、欧州リーグ準々決勝バルサ戦で決勝ゴールをアシストしたことや、フランクフルトを欧州ナンバーワンに導いた“ポゼッションサッカーへの適性”を評価したのでは?」

 年俸アップも期待できて、先の記者によると、

「日本人選手の年俸歴代1位は、英マンチェスターユナイテッド時代の香川真司の約8億円とされていますが、来季の鎌田の年俸は、たとえバルサに移籍できなくても、10億円を超えて歴代1位になる見込みです」

 今年は、八村からも鎌田からも目が離せない。

「週刊新潮」2023年2月9日号 掲載