経営難から再起のための反日カード

 韓国の自生植物園に突如として現れた「永遠の贖罪」像。この“少女像の前に安倍晋三首相がひざまずいて謝罪する姿の造形物”を設置し、日本の政府およびメディアから批判を浴びたのは金昌烈(キム・チャンリョル、71)園長だったが、彼の“もくろみ”がはっきりと見えてきた。その左翼活動歴と共に紹介する。

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 現時点では見ることができなくなっているが、金園長が代表を務める江原道平昌に位置する民間施設「韓国自生植物園」のホームページには、「安倍謝罪像」を使った写真が“広報宣伝”用に使われていた。

 そこには、こんなメッセージもある。

《2011年の火災で閉館し、9年ぶりに再び皆さんにお目にかかる》

《ありがたくて感謝している》

《新しい形の植物園を楽しんでほしい》

 何のことはない、閉館後に再開はしたものの、細々とでしかなかった植物園の再起のため、「安倍謝罪像」を利用した恰好なのだ。

 1999年6月に開園。2002年には山林庁から私立植物園第1号の認定を受けた自生植物園は、約3万坪の散策路に約500種の自生植物と約70種の希少植物、絶滅危惧植物などが展示されている。また、室内展示場と野外植物園などの施設も整っている。

 この植物園は2011年から現在まで“開店休館”状態で、理由は「経営難」のためだ。植物園が観光地として脚光を浴びると、政府機関や地方自治体が公共予算で大型植物園を建設し、自生植物園の観覧客が減り、赤字が深刻化したのだ。

 植物園側は赤字経営の代わりに長期間の休館を選択せざるを得なかった。「安倍謝罪像」論議が起こるまではとうに忘れられ、関心を全く集めていなかった民間植物園の一つ……。実際、この「自生植物園」に対する有意義な資料を探すことは難しい。そこで一念発起すべく自生植物園は「安倍謝罪像」を設置。議論が巻き起こり、結果として「無料広報効果」を最大限に享受しているわけだ。

「撤去せず」「撤去するなら私を先に」「自然な形で過去の歴史を」

 8月10日に予定されていた造形物の除幕式中止を説明した金園長。中央日報のインタビューでは、「造形物を撤去する考えは全くない」と述べている。と同時に、「個人的なことであり、政府や外部機関が関与することでもないのに、なぜ、そんなに不満に思う人たちがいるのか全く理解できない」とし、「造形物が撤去されたり片付けられたりするなら、私を先に撤去しなければならない」と強調した。

 当然、日本に対しても強い憂慮を表明した園長は、「日本は我が国民を分断し、葛藤を助長している」「親が子供たちの手を握って植物園に来たところ、自然な形で造形物を目にして過去の歴史を知っていくことに満足している」とも話す。

 葛藤や分断を触発したのは日本であり、金園長自身はただ歴史教育のために当該造形物を設置したとの主張を展開している。

 園長はさらに、「植物園に見どころ一つを作ったと思って、とにかく問題視しないでほしい」とも言う。とはいえ、ホームページに安倍謝罪像を掲載したのは当の園長であり、慰安婦問題に火をつけたのはむしろ彼の方だ。「論理のすり替え」「二枚舌」そのものと言えまいか。

 少しさかのぼると、先月25日、韓国メディアには「贖罪の対象を確実にする必要があり、少女像の対象を安倍首相に象徴して作った」と述べたが、日本メディアが一斉にそれを報じると、「安倍ではなく男性を形象化したもの」と“変節”。韓国の中央日報にも「何度も言ったように、私は造形物を安倍首相だと一度も言ったことがない」と前言を覆すのだった。

 このような園長の広報戦術的な二枚舌は、最近だと慰安婦お婆さんこと李容洙(イ・ヨンス、91)さんにも共通するものだ。反日デモ「水曜集会」や慰安婦像の設置を主導してきた正義記憶連帯の“犯罪行為”を暴露しながらも、最近になって「東京に慰安婦少女像を設置しなければならない」と話すようになったお婆さん……。

廬武鉉元大統領をエスコート

 話を金園長に戻すと、当然ながら彼の「左翼運動に関する履歴」が注目されている。最終学歴は、高麗大学自然科学大学院修了で卒業した大学は確認できない。

 1949年生まれで、大学在学中の1970年代、朴正熙政権下、大統領緊急措置9号違反で3年間の獄中生活を送った。釈放後、その活動歴が災いして就職に失敗した園長は、農業に従事するなどし、現在の自生植物園をオープンした。

 文在寅(ムン・ジェイン、67)大統領が過去に大統領府民情首席を務めていた盧武鉉(ノ・ムヒョン、62没)元大統領は2008年7月21日、自生植物園を訪れ、杜松の木を植樹している。反日小説『太白山脈』を執筆したことで有名な小説家・趙廷来(チョ・ジョンネ、76)氏は「安倍謝罪像」を「永遠の贖罪」と命名。園長が「純粋な意図」で造形物を設置したのか、彼の左翼的思考が影響してのことなのか、簡単に判断がつく話だろう。

 事実、かつてのインタビューで、経営難でも自生植物園を完全閉園としない理由について、「趣味は植物園。多くの人が訪れる植物園を作ること以外にはできることは何もない」と明かしている。人が数多く訪ねてくるために反日カードを使ったのか、自身の念願である「日本へ戦争犯罪に対する真の謝罪と贖罪を望むもの」なのか、あるいはその両方なのか……。

張惠媛(チャン・ヒェウォン)
建国大学広報大学院でジャーナリズムの修士号を取得、漢陽大学政治外交学科大学院で国際政治を専攻。 現在フリー記者として活動中。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月1日 掲載