竹島でドローンを飛ばすとき、「日本の承認は必要ではない」と反発

 韓国政府はドローンを第4次核心産業と位置付けて、科学技術情報通信部が企業の開発費を支援する予算を編成し、国土交通部が活用実験を行うなど、ドローン技術の競争力を強化したい考えだ。政府が普及に取り組むなか、米国エアマップ社が竹島でドローンを飛ばすときに、日韓両政府の承認を受けなければならないと紹介して議論が広がった。また、国民のモラルも課題として浮上している。

 世界最大級のドローンソフトウェア会社である米国エアマップ社が、竹島でドローンを飛行させるとき、日韓両政府の承認を受けなければならないと自社のプラットフォームを通じて紹介した。

 同社は日本と韓国が領有権を主張し、韓国が実効支配している竹島を日本と韓国の共同管理区域だと紹介している。

 エアマップは2014年の設立で、世界中のドローンの航路や飛行可能区域、飛行承認に関する情報を発信。また200以上の空港にドローンプラットフォームを提供しているドローン飛行情報に関する世界最大級企業で、マイクロソフトやエアバス、クアルコム、ソニー、楽天などが投資をしている。

 韓国政府は、竹島(韓国名・独島)でドローンを飛ばすとき、韓国海軍艦隊司令部と警察当局の承認を受ける必要があるが、日本の承認は必要ではないと反発し、エアマップ社に修正を要請する計画だ。

 竹島の領有権問題は、江戸時代に遡る。当時、日本では現在の竹島を「松島」、鬱陵島を「竹島」と呼んでいた。

 元禄時代、江戸幕府と朝鮮王朝の間で鬱陵島を巡る領土問題が勃発し、交渉を行った結果、江戸幕府は鬱陵島を放棄して、松島(現・竹島)は日本領、竹島(現・鬱陵島)は朝鮮領となった。

 その後、明治になり、西洋の地図に鬱陵島が誤って「松島」と記載されたが、明治政府はこれを修正せず、それまで松島と呼んでいた島を竹島と命名した。

 韓国は竹島を自国領だと主張するが、江戸幕府が朝鮮領だと認めた竹島は、現在の鬱陵島である。ちなみに鬱陵島に隣接する竹與島を韓国では竹島と呼んでいる。

大韓航空、独自開発の「ハイブリッドドローン」を韓国軍に納入

 韓国では陸軍がドローン戦闘団を編成するなど、早くから軍がドローンの開発に取り組み、軍需企業のハンファに加え、LG電子、斗山、現代自動車などが開発を進めてきた。

 1990年代後半から無人機開発に投資をしてきた大韓航空は、今年7月、独自開発の「ハイブリッドドローン」を韓国軍に納入する契約を防衛事業庁と締結した。

 既存のバッテリータイプのドローンは、飛行時間が最大30分以内だが、大韓航空のドローンは、内燃機関とバッテリーを組み合わせたハイブリッドエンジンを搭載して、運用時間を2時間まで拡大した。最大高度は500mで、最高速度は72km/h、−20℃から45℃の温度帯で正常に作動するなど、従来のドローンをはるかに上回る性能を持っているという。

 10月末までに6台を納品し、来年4月末まで軍がテスト運用を行った後、量産を決める計画だ。

 国土交通部は民間活用を進めている。同部は今年9月19日、新型コロナウイルスに対応した非対面配送事業の可能性を探る目的で、ドローンを活用した配達サービスの実証実験を行った。

 実験は世宗市内の公園一帯で行われ、韓国製の多目的用ドローン5台を使って、フライドチキンやハンバーガーを配達した。

 国土交通部は、都心の環境に適用できる安全な中長距離ドローン配達サービスの可能性を確認したと発表し、多数のドローンの自動離着陸や飛行、専用のアプリを利用した注文や配送確認など適用可能な技術を実証したというが。

 新型コロナウイルス感染拡大の恐れがあるとき、政府は外出自粛を勧告するので、実験が行われた公園は利用できないのが原則である。また、マンションやオフィスビルへの配達に関する検証結果は発表されていない。

物議を醸したドローン墜落事故での逮捕者

 韓国のドローンは所管が国土交通部、科学技術情報通信部、産業通商資源部に分かれ、警察と軍も関わるなど、複雑に絡み合っている。

 また、2019年時点で国土交通部に届け出がなされていたドローンは1万21台で、届け出が不要な重さ12キログラム以下の小型ドローンを合わせると数十万台に達するとみられるが、韓国内のドローンは90%以上が中国製で、技術の遅れが指摘されており、利用者のモラルもドローンの普及を妨げている。

 ソウルの中心部で、業務等でドローン撮影をしたいときなど、申請した後、軍当局と日程を調整し、軍の担当官の立ち合いの下で飛行させなければならない。国の中枢機関が集まっており、特に大統領府への攻撃を避けるためだという。

 申請から実際の飛行まで2週間以上、悪天候等で飛行ができないときは再申請を行って、さらに2週間以上待つことになる。

 要するに、ドローンを使った都心部の撮影など、実質的には不可能に近いのだが、違法飛行が増えている。

 9月19日未明、釜山市水営区でドローンが墜落する事件が起きた。数十倍のズーム撮影が可能な高性能カメラが搭載されており、警察が検証したところ男女10組の生々しい行為の動画が映されていたという。

 警察は現場周辺の監視カメラを分析して、40代の会社員を逮捕した。

 会社員は警察の取り調べに対し「ドローンを紛失しただけで、故意に生々しい行為の映像を撮影したわけではない」と容疑を否認したが、検察は性暴力処罰特例法違反(カメラなどを利用した撮影)の疑いで逮捕状を請求した。

交通事故が日常茶飯事の韓国でルールが守られるのか

 釜山市水営区など高層マンションが林立する場所で、窓側に他の高層マンションや高層ビルがない場合、外から覗かれる可能性はないと考えて、カーテンを閉めずに生活しているケースが多いという。

 国防部の資料でもドローンの未承認飛行が年々増えている。

 首都圏の飛行禁止区域と休戦ライン地域で摘発された違法飛行は、2018年は15件で、2019年には28件に倍増し、今年は9月末時点ですでに43件まで増えていた。

 摘発した未承認飛行は39%が「レジャー目的」で最も多く、「試験飛行」が20・3%で続いている。また、「放送番組の撮影」や「不動産現況の撮影」など業務上の違法飛行も摘発された。

 筆者は軍の施設を見学したことがあるが、外国人は撮影禁止区域などマナーを厳守する一方、韓国人が規則を破って軍の指摘を受ける場面が多々あり、韓国軍は自国民のモラルに悩まされている。

 科学技術情報通信部が技術開発を支援し、軍が導入を進める一方、民間活用は中国などに大きく水をあけられている。

 国土交通部は宅配サービスに加えて、2025年には「ドローンタクシー」を実用化したい考えで専用空域を設定する方針だが、空域設定には軍も関わってくる。

 交通事故が日常茶飯事の韓国でルールが守られるのか、軍もさることながら、モラルが最大の障害になりそうだ。

佐々木和義
広告プランナー兼ライター。商業写真・映像制作会社を経て広告会社に転職し、プランナー兼コピーライターとなる。韓国に進出する食品会社の立上げを請け負い、2009年に渡韓。日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える必要性を感じ、2012年、日系専門広告制作会社を設立し、現在に至る。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年10月17日 掲載