耳飾りは旭日旗を表しているから、韓国ではふさわしくないという声も出た

 現在、コロナ禍も吹き飛ばす勢いで大ヒットを飛ばす劇場版「鬼滅の刃・無限列車編」。先日、英「BBC」では「鬼滅の刃・無限列車編」に対し、「世界中で映画館が空っぽになる。それが見慣れた光景になることをパンデミックは意味している。しかしそれは日本を除いての現象だ。1つの映画が独力で劇場に観衆を引き戻している」と報じた。韓国でも鬼滅フィーバーが起こり、昨年から続く「反日不買」運動は有名無実化している。

 日本でのTVアニメは2019年4月6日から放映されたが、韓国でもほぼ同時期の2019年4月10日から、韓国ケーブルTV・ANIMAXで放送された。

「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎がつけている耳飾りは旭日旗を表しているから、韓国ではふさわしくないという声も出た。もっとも、ANIMAXは勝算があったのだろう、19歳以上観覧OKという条件付きで放送に舵を切ったのだ。

 19歳以上と言いながら中高生から大人まで、幅広い層で人気が爆発。オタクともいえる熱烈なファンを多数獲得した。

 ドラゴンボールやスラムダンク、ワンピース等、日本の漫画はすでに長い間、韓国で大きな人気を誇る。

 ワンピースに関してはソウル一の学生街・ホンデにサウザンドサニー号をモチーフにした「カフェ・ドゥ・ワンピース」があり、不買中も関係なくグッズは売れており、その他、「となりのトトロ」をモチーフにしたショップ(トトリの森)もあり、サンリオショップはチェーン展開されている。

「日本の漫画に韓国が叶うわけがない」

 そう考える韓国民は少なくないはずだ。

韓国のフィギュア「転売ヤー」事情

 ユニクロは今回の映画の大ヒットを受け、早々に第2弾コラボを発表。

「鬼滅の刃」関連商品が雨後の筍のように出てくる一方で、法外な価格でこれをさばく「転売ヤー」も潤う結果になりつつある。

 韓国内でも「鬼滅の刃」人気が広まると、漫画単行本ばかりかフィギュアやキーリング、Tシャツやコスプレグッズ、果ては韓国限定アクリルチャームまでオンラインショップで販売されている。

 ある統計では、日本国内ヤフオク、アマゾン、eBay、メルカリ等での「鬼滅の刃」フィギュアの転売平均価格が1万5768円と出ている。

 また「少年ジャンプ50周年記念Qposketの鬼滅の刃フィギュア、主人公:竈門炭治郎、主人公の妹:竈門禰豆子」の2体は、日本のアマゾンで1万6800円に対し韓国では4万6900円の値付けがされている。

 あるいは、「鬼滅の刃 フィギュア 絆ノ装 SPECIAL 竈門炭治郎 竈門禰豆子 我妻善逸 嘴平伊之助 冨岡義勇 スペシャル 全5種セット」が日本のアマゾンで2万9800円なのに対し、韓国では7万6600円となっている。

 金額だけではあるが、韓国での「鬼滅の刃」の過熱ぶりは十分理解出来るだろう。

 興味深いのは、購入を考える若者の多くがSNSのコニュニティーで知り合った日本在住韓国人に購入を頼んでいる点だ。

 さすがに反日不買の中、友人であっても日本人には頼みづらいというのが彼らの本音としてあると聞いた。

パクリゲームが大批判されたが、擁護派も登場し……

 アニメグッズはマニアだけで無く、韓国では3年ほど前から訪れた「日本風ラーメン第2次ブーム」にも影響している。

 若者が飲食の新規事業を行う上で日本風のラーメン屋が憧れの職業になっているのだが、そのラーメン屋(のみならず居酒屋、漫画喫茶も含め)には、必ずと言っていいほど日本の人気アニメグッズがオブジェとして飾られている。

 そのグッズ販売に関係する業者たちも口を揃えて「今回の鬼滅ブームはワンピース以来のブーム」と語っている。

 そして彼らは、12月に「鬼滅の刃・無限列車編」が韓国で公開されるのをメドに、日本から「鬼滅の刃」関連グッズを“無差別に仕入れる”と打ち明ける。

 2020年4月には「鬼滅の刃」のストーリーからキャラクターまでそっくり真似た「鬼刹の剣」という丸パクリRPGゲームまで登場し、ファンから大きな不興を買った。

 もちろん発売後、すぐに販売中止になったが、これを裏返せば、「鬼滅の刃」はそれほど信仰心の厚いファンを集めているということになる。

 とはいえ、おかしなもので配信を中止すると擁護する者も出始め、「鬼滅の刃をオマージュしたとは思わないのか?」「ゲームを楽しむ自由はないのか?」といった意見も多く見受けられた。

 押し並べて、「鬼滅」狂騒を象徴する“事件”だろう。

 昨年来、文大統領自身が旗振り役となって進めた反日不買も、特に若者層からの評判は芳しくなく、「選択的不買」など、不買を揶揄する言葉さえ生まれている。

 転売ヤーがはびこり、丸パクリゲームまで登場した「鬼滅」狂騒もまた「選択的不買」の一現象であり、文政権への異議申し立てに他ならないのだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年11月2日 掲載