「知日派」「日本通」は大使に適格なのか

 2010年、韓国・仁川沖の延坪島(ヨンピョンド)を北朝鮮軍が砲撃し、韓国海兵隊員と民間人計4人が死亡した。韓国人の多くが被害者を悼んだ事件から10年目の今年11月23日、文在寅大統領は“休暇”を取得。哀悼行事は、大統領自身が憧れる北朝鮮を刺激する可能性があり、参加を回避する意図的で卑怯ともいえる休暇だったが、一方でこの日、文大統領はある決定を下したのだった。

 その決定とは、与党・共に民主党所属の姜昌一(カン・チャンイル)元国会議員を新しい駐日韓国大使に任命したことである。

 姜昌一氏は、東京大学大学院で修士、博士号を取得し、韓日議員連盟会長として活動した「知日派」「日本通」として知られる人物だ。

 日韓両国のメディアは氏の履歴を紹介し、冷え込んだ日韓関係を改善する役割を期待したが、親文在寅派の姜氏に関係改善を期待するのは無理がある。

 南官杓(ナム・グァンピョ)現駐日韓国大使も3年間、駐日韓国大使館で務めた経験があり、知日派と呼ばれている。

 日本のメディアも、東京大学大学院を修了した姜昌一氏の駐日大使就任が日韓関係にプラスに作用すると展望するが、韓国の政治家を履歴で判断するのは早急だ。

 次期大統領の有力候補に挙げられている与党・共に民主党の李洛淵(イ・ナギョン)代表も韓国3大新聞のひとつ「東亜日報」の東京特派員を務めて知日派と呼ばれている。

 しかし、実態は強硬な反日発言を繰り返すばかりなのは、これまで触れてきた通りだ。

 韓国の政治家は、学歴や経歴などではなく、親文在寅派か保守かで判断しなければならない。

「極右は無視」という新大使

 野党・保守党は、日本帝国主義の植民地時代を乗り越えて、日韓両国の発展的未来と韓米同盟の強化に取り組み、反共志向で半島平和を望んでいる。

 保守を“親日派”“土着倭寇”と決めつける親文在寅派は、盲目的な反日と親北・親中を旨とする。

 親文在寅派は、学歴や履歴はどうあれ、知日派といえども反日思考が根付いている。

 実際、“親文在寅派”の姜昌一氏はそのような発言をしてきた。

 昨年2月14日、韓国CBSラジオ放送に出演した際、「慰安婦問題は、首相か天皇が謝罪することが望ましい」と文喜相国会議長が発言し、当時の河野太郎外相が「無礼だ」と応酬した件について、見解を聞かれた姜昌一氏。

 彼は、「日本の極右勢力は無視するに限る。彼らは韓国を殴りつけようと考え、自分の存在感を誇示しようとしているに過ぎない」と発言した。

 姜昌一氏は放送の中で、元朝鮮人従軍慰安婦問題に対する安倍内閣の姿勢について「(安倍内閣は)誠意ある謝罪をしっかりしていない。(慰安婦被害者たちに)心の傷を与えてごめんなさいとすらいわず、真の謝罪ではない」と話した。

 日本政府は日本帝国時代の韓国統治や慰安婦問題に対し、何度も謝罪してきたが、文在寅派は“真正性がない”と決めつけて、謝罪と賠償を要求し続けている。

 姜昌一氏が属する文在寅派はまともな国家が守るべきルールを知らないようなのだ。

 従軍慰安婦問題について、安倍内閣に“真の謝罪をせよ”と求めた姜昌一氏は、慰安婦を利用した輩をかばった過去を忘れている。

「正義連と尹美香の努力を尊重すべし」と

 今年5月、慰安婦支援団体の「正義記憶連帯(正義連)」と前理事長の尹美香(ユン・ミヒャン)国会議員に、寄付金の流用と横領、背任、詐欺などの疑惑が提起された。

 尹美香議員は起訴され、全国の慰安婦支援団体が激しい非難を受けているが、慰安婦被害者を称する人たちも疑いの目で見られている。

 一部の日本メディアは、尹美香氏に対する姜昌一氏の否定的な発言を取り上げて、慰安婦問題では少なくとも中立的だと評価する。

 確かに姜昌一氏は、正義連と尹美香氏に対する世論の目が厳しくなると、「国民に釈明して謝罪せよ」「尹美香の政界進出に賛成しない」と発言したが、疑惑が提起され始めた当初は擁護する行動を取っていた。

 与党の国会議員とともに「(正義連と尹美香に対する)不当な攻勢を止めろ」という声明を発表していたのだ。

「正義連の30年間の努力を尊重し、高く評価する。小さなミスがあったとしても、活動の意義と成果が否定されてはならない」

「尹美香氏に対する批判を止めなさい。日本軍性奴隷問題解決に向けて力を尽くしてきた団体や個人を冒涜してはならない 」ともコメントしている。

 はじめは親文在寅派だったのに、世論が悪化すると撤回。知日派を装いながら、安倍内閣を「無視しろ」と述べ立てる。

 周りに合わせて立場を変える日和見主義者が駐日韓国大使として適格だと果たして言えるだろうか。

徴用工問題には曖昧な態度で

 韓国青瓦台(大統領府)は、文大統領が姜昌一氏を駐日韓国大使に任命すると、「菅内閣発足を迎え、対日専門性と経験がある大使の就任で、硬直した韓日関係を未来志向的に進む契機になると期待する」と評価した。

 親文在寅派の姜昌一氏が日韓関係改善に全く役に立たないであろうことは前述の通りだが、いわゆる元朝鮮人徴用工の賠償問題でも彼は危険である。

 日本は、韓国が日本企業の資産を現金化すれば、強硬に対処するのは間違いないし、文大統領が現金化しないと述べても、最高裁判所が判決を下した手続きは進行する。

 姜昌一氏はいわゆる徴用工賠償判決について「日本企業の国内資産の現金化はよくない」と言いながらも「韓国が現金化しないとは言えない」と曖昧な発言を続けてきた。

 姜昌一氏の知日派と日本通という履歴にとらわれて日韓関係が改善されると期待しても、彼の背後には親文在寅派という巨大な壁が立ちはだかっているのを忘れてはならない。

 反日・親北朝鮮主義者とは距離を置くのが、日本にとってベストな選択である。

韓永(ハン・ヨン)
検察担当記者などを経て現在フリー

週刊新潮WEB取材班編集

2020年12月1日 掲載