改めて「公式謝罪を」

 去る16日、慰安婦被害者とされる李容洙(イ・ヨンス、92)氏が記者会見を行った。長年、挺身隊、正義連の広告塔として活動してきたが、昨年には正義連元代表で国会議員の尹美香氏の悪事を暴露する会見を行い、その後、尹美香氏が起訴される事態に至った。今回の会見は正義連とは別の団体の支持を受け、「賠償はいらない、お金が目的ではない」として、「謝罪と国際裁判での決着」を訴えたものの、世間の反応は思いのほか冷たく、“フェイク慰安婦”などと呼ぶ声もあがっている。

 改めて李容洙さんは謝罪を求めているわけだが、日本がこれまで幾度となく公式謝罪を重ねてきたことに目をつぶるのだろうか。

 昭和天皇は「今世紀の一時期において,両国の間に不幸な過去が存したことは誠に遺憾であり,再び繰り返されてはならない」と1984年の全斗煥大統領歓迎の宮中晩餐会において謝罪されたし、明仁天皇は1990年5月24日に盧泰愚大統領を迎えた同じく宮中晩餐会で、「我が国によってもたらされたこの不幸な時期に,貴国の人々が味わわれた苦しみを思い,私は痛惜の念を禁じえません」とのお言葉を述べられた。

 しかし、昭和天皇のお言葉の「誠に遺憾であり」の部分は「誠実さに欠ける」、明仁天皇のお言葉は「全くの論外」と、韓国メディアは一蹴する形で報道してきた。

 河野談話や村山談話はもちろん、アジア女性平和基金が設立された際には小泉純一郎首相が慰安婦被害者へお詫びの手紙をしたためている。

 アジア女性基金による賠償については、日本国民からの拠出による「償い金」(一人一律200万円、総額約5億7000万円)、政府予算からの医療・福祉支援事業金(総額約5億1000万円)が、元慰安婦236人中61人に与えられた。

 また、2015年の慰安婦合意による賠償に関しては、47人中36人が合意に賛成して1人およそ950万円ずつを受けとっていた。

「受け取りを拒否」求めた正義連

 この慰安婦合意の賠償金について、正義連は慰安婦たちに受け取りを拒否するよう働きかけていたことが、昨年5月に慰安婦被害者による告発で明らかとなっている。

 また慰安婦合意に関して全く知らなかったと言い切っていた尹美香氏が実は、韓国外交部(外務省に当たる)の担当者と数度、この件で相談をしていたことが暴露され世間を驚かせた。

 いずれも、慰安婦支援がビジネスとなってきたことを物語り、尹美香氏らはそれに終止符が打たれることをよしとしなかったことになる。

 尹美香氏は意趣返しとばかりに、自身のフェイスブックで、李容洙さんが慰安婦ではないとほのめかす文章をあげた。結果、これまでの慰安婦問題はなんだったのかという疑問や不満が韓国内で渦巻いたのだった。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領による慰安婦合意破棄、反日不買運動、李容洙さんの暴露、正義連への検察捜査、慰安婦基金・寄付金の不正流用、慰安婦被害者への虐待とも思える対応という経緯を経て、今回の記者会見に韓国社会は今までにないほど冷ややかな反応をしている。

 敏感なネット世論の声を拾ってみた。

《慰安婦問題は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の時に韓国政府から補助金を出すことで解決したはずだし、2015年には慰安婦合意で100億ウォンを日本が賠償し、それを当時の生存者が受け取ったはずだ。その後に李容洙さんは正義連を告発し、たもとをわかったのに、また手を取り合っているという説もある。とにかくこの問題、もううんざりです。李容洙さん、あなたは尹美香に騙されていたのは間違いないわけですから》

《左派政権は、すべての市民団体を掌握して金儲けをしていたことが明らかになった。これ以上騙されないように》

《最初に慰安婦被害者の安全よりも、反日の口実が必要な団体だったんですね。まずはしっかり正義連と政府を断罪すべきでは?》

《おばあさんの話が、くどくどと痛い。この会見は何のためのものですか?》

誰が妨害し、嘘を吹き込んだのか?

 李容洙さんへの厳しい意見が続く。

《誰がこんなモンスターを生んだのだ》

《今や慰安婦の犠牲者か偽犠牲者かどうかはもうどうでも良くないですか? 日本の足を引っ張るようなことが事あるごとに続いているけれど、日本への憎しみを若い人たちに引き継ぎたいの? 韓国ではもう違う風が吹き始めていますよ》

《国際裁判で主張する証言が認められなければ、あなたは日韓両国を苦しめた大罪人として後世に名を残せますよ》

《おばあさん、頑張ってください。慰安婦支援団体は本当に市民のために何かを行ったのか、自問しなければならない時です。いずれも自分の利益のために“市民”を掲げただけに過ぎなかったのではないか。それを暴露した当事者の李容洙さんが今回また違った発言をしていて失望しました。他の被害者のために一つもプラスになりません。もう、正体を晒してください。国民はあなたの言い分に耳を傾けていませんよ》

 “ほめ殺し”が登場する一方で、こんなエールも。

《ずっと正義を叫んでください。左派の実体がどうなのか、誤った思想のすべての人々がしっかりするように努力してください。そして健康でなければなりません。大韓民国の生きる道は、反中親米しかないということを認識しなければなりません》

 とはいえ、文在寅大統領の責任や不作為を問う声が一番多い。

《日本が賠償しなければならないと主張していた文在寅大統領と与党議員たち。彼らは過去、大手企業の不正・腐敗にあんなに怒ったのに、慰安婦のおばあさんらを利用して寄付金が着服されていたのは大したことではないとでもいうように振る舞っている。目下、日本にすり寄ろうと努力をしているようだが、もう韓国国民も騙されませんよ》

《金儲けや政治的な野望を叶えるため、この哀れなおばあさんたちを利用してきた人や組織に問題がある。慰安婦支援活動がビジネスとなっていることが、韓国内で白日のもとにさらされたことは間違いない。日本軍よりさらに悪い行為だ。日本という国は侵略国だと言うが、慰安婦に限っては今までどれだけ日本が歩み寄ったのか、理解しないといけない。この件を誰が妨害し我々に嘘を吹き込んだのか? 慰安婦問題はまず国内で処理すべきだということは、すでに明らかだ。今後も放置していくのであれば、先進国の資格がないと指弾されても仕方ない》

デイリー新潮取材班

2021年2月22日 掲載