竹島の日本領土表記を削除せよと要求

 日本ではほとんど知られていないが、釜山に「釜山キョレハナ」という団体があり、これが日本総領事館前の平和の少女像周辺でデモを行った。14日には記者会見を開き、「東京オリンピック聖火リレーの地図上に記載されている独島の日本領土表記を削除せよ」などと要求している。文在寅大統領は、この根拠なきラディカルな主張を展開する反日団体を放置しつつ、その一方で東京オリンピックに際しての訪日と日韓首脳会談開催を熱望しているというから、二枚舌ここに極まれり、である。

 この「釜山キョレハナ」という団体は、2016年にウィーン条約に違反し、釜山の日本総領事館前に少女像の設置を強行した団体のうちのひとつである。日本大使館前でこのようなデモを行うこと自体、問題がある。ウィーン条約の第22条第2項には「接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する」とあり、韓国はこうしたデモに何らかの対応をする責務がある。

 もちろん集会やある程度の活動は許容されるだろうが、そもそも2015年の日韓合意で明記された慰安婦問題について「互いに非難・批判することは控える」という精神に反するのは言うまでもない。

 少女像が設置されて直ぐに釜山側は道路交通法違反容疑で像を撤去し、撤去に抵抗した市民団体のメンバーら13人を公務執行妨害の疑いで警察に連行したが、この騒動を知った市民らからの抗議が殺到して釜山側は態度を一変、設置を認めたという経緯がある。

親北団体の様相を呈して

 団体名の「キョレ」とは「民族、同胞」、ハナは「ひとつ」で「民族はひとつ=南北統一」を意味している。この団体のホームページ(https://www.krhana.org/)を覗くと、トップページには韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が一緒に写った写真が次から次へと流れてくる。

「キョレハナ」はソウルを始めとして韓国全土に10の団体があり、2018年の情報によると所属会員数は8000名を超えている。

 この団体の主な活動内容は、北朝鮮の子どものための栄養パン工場・平壌歯科病院の建設などの対北朝鮮人道支援事業、南北独島討論会、平壌遺跡踏査などの南北社会文化交流事業、そして南北大学生交流、南北強制徴用共同討論会などの推進となっており、あたかも親北団体の様相を呈している。南北融和を図ってきた文在寅大統領の方針と重なっているようにも映る。

 日本に対する活動としては、全国各地への慰安婦像・徴用工像の建設、戦争犯罪行為に対する謝罪請求、強制徴用謝罪賠償運動など、盛りだくさんだ。釜山で竹島に関するデモが行われた14日には、別の支部である「大田忠南(テジョン・チュンナム)キョレハナ」が他団体らと共に、大田にある徴用工像の前で、却下判決が出たばかりの徴用工訴訟を糾弾する会見も行っている。

 もちろん韓国国内には反日団体が数多く存在するわけだが、この「キョレハナ」はその中でも積極的な活動が目立つうちのひとつであり、非常に力を持っている。

 それでは今回、「釜山キョレハナ」が日本に対して抗議した内容を改めて確認しておこう。

「竹島は日本領土」との主張を削除せよ

・日本政府がホームページ上に記載している「竹島が日本領土だ」という主張を削除せよ

・東京オリンピック聖火リレーの地図上にある、竹島の日本領土表記を削除せよ。削除せよと求めた韓国政府と国民の要求を無視するな

・韓国政府が竹島を不法占拠していると主張するのはいかにも常識外れである

・日本軍慰安婦問題、強制徴用問題、独島領有権主張問題など、日本政府は破廉恥な行動を取り続けている

 竹島にこだわって苛烈な日本批判を展開している印象だが、韓国側の主張は全て日本側に論破されており、韓国は新たな証拠を提示できないまま不法占拠を行っているにすぎない。

 東京オリンピックの竹島表記に関しては、国際オリンピック委員会(IOC)が竹島の記載に問題ないとする見解を韓国側に示していることが今月10日に明らかとなっている。韓国政府がIOCの見解を受け入れていないだけだ。

 この他にも「釜山キョレハナ」は、先日行われた主要国首脳会議(G7)に関係し、日韓首脳会談が行われる予定であったにもかかわらず日本側が一方的に拒否し、さらに拒否した事実を否定しているという報道についても「日本がまた歴史を歪曲しようとしている」と言及している。

 少女像は未だに日本総領事館前に鎮座しており、今回のデモの開催地としても選ばれた。この場所は、彼らの活動が韓国民に認められた聖地であるから、反日活動を行う際には外せない場所となっている。

「“絶対悪”の日本が相手であれば何をしてもかまわない」と考えた結果、公館前でデモ活動を展開したようだが、G7に招待を受けるほどの先進国であるならば、それ相応の節度と礼節を備えて欲しいものである。

 文大統領は東京五輪のタイミングで来日し、日韓首脳会談開催を熱望しているという。その障壁となりそうな根拠なき日本バッシングの芽は放置するのではなく、摘んでおくべきではないのか。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年6月21日 掲載