異常なペースで海軍の力を増強

 中国で民主化を訴える学生らが人民解放軍に虐殺された「天安門事件」から33年を迎えた6月4日、香港では追悼式に参加した6人が逮捕された。民主化への道がさらに遠のく一方、軍事力は目覚ましい発展を見せており、既に一部の分野では「米軍以上」との声もあるのだ。

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 冒頭の写真は、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)が公開した上海の造船所の衛星写真。そこに写るのは、進水間近とうわさされる中国3隻目の空母だ。

 1隻目は2012年就役の「遼寧(りょうねい)」。ソ連海軍の空母「ワリャーグ」としてウクライナで起工するも、冷戦後に建造が中止。スクラップとして中国が買い取った。「海上カジノとして利用する」との説明だったが、今では日本近海を我が物顔で巡行している。

 2隻目の「山東」は、「遼寧」をもとに中国が自国で設計した“国産空母”である。就役は19年だから、異常なペースで海軍力を増強しているのがわかる。しかも、3隻目は能力も大幅にアップしているという。

「先の2隻では、艦載機を射出するカタパルトが造れず、代わりに甲板の先端を上向きに湾曲させて発艦しやすくしていた。いわゆる“スキージャンプ型”です。一方、写真の3隻目にはカタパルトらしきものが見える」(軍事ジャーナリスト)

すでに米軍以上?

 公開中の映画「トップガン マーヴェリック」が描いているように、かつては空母といえば米国の軍事力の象徴であった。

「米軍には11隻の空母がありますが、極東に常駐するのは横須賀基地の『ロナルド・レーガン』1隻のみ。中国は本気で米国の覇権に挑戦している」(同)

 一部の分野においては、すでに“米軍以上”との評価も。

「最近、『山東』の甲板上に並ぶ無人航空機の写真を中国メディアが報じました。“無人機の運用では米海軍より先行している”とのアピールでしょう」(同)

 米国の空母建造費は1隻あたり1.7兆円ほど。目下、国会で“倍増”が議論されている日本の防衛予算は約5兆円。中国は約26兆円で、実に日本の5倍だ。中国と比較すると、倍増ですら心もとないというのが現状なのである。

「週刊新潮」2022年6月16日号 掲載