福岡市のシルクスクリーン印刷会社「有限会社スタッフ」が販売する「ペット鎧」が、アメリカなど海外のネットメディアで話題となり、国内だけでなく世界中からの注目を集めている。商品を作るきっかけとなったのは近所で保護した三毛の看板猫・まこ(メス、4)だったという。開発秘話などを木村英司社長(61)に聞いてみた。

 「ペット鎧」は猫用、犬用があり、色は赤、黒、銀、金色の4種類。一見、重たい本物の鎧のように見えるが、実はこれ、重さはたったの100グラム。精密機械の梱包などに使われる非常に軽い発泡樹脂に、精巧なシルクスクリーン印刷を施したものだ。

 1984年創業の同社は、4年前に「SAMURAI AGE(サムライエイジ)」というブランドを立ちあげ、野球帽に戦国武将の兜をあしらった「兜キャップ」や、ミニチュアの鎧を酒の瓶などにかぶせて飾る「ボトルカバー サムライ鎧」などを販売している。いずれも素材はペット鎧と同じ発泡樹脂。商品はすべてハンドメイドで丁寧に仕上げている。

 「創業時から培ってきた印刷技術の強みを生かしたモノづくりが何かできないかと模索した結果、これからはインバウンド(訪日外国人旅行)の増加が見込まれるので、日本らしいお土産が必要だろうと。そこで以前から興味があった戦国武将の鎧や兜のレプリカを作ることにしたんです」と木村社長は話す。

 これらの商品は特に外国人観光客の間で好評を博している。「次はどんなものを作ろうか」と思案していたとき、木村社長の目にふととまったのが、同社に勤める長女・綾さん(38)の飼い猫で、会社の看板猫の「まこ」だった。

 綾さんは、まことの出会いをこう振り返る。「まこは4年前の9月、会社近くの駐車場で母猫とはぐれ、ぐたっとして倒れていました。まだ生後1カ月くらい。かんかん照りの中にいたので、このままでは死んでしまうかもと思い、保護したんです」。会社に連れ帰って世話を続けると元気になり、すくすく成長。小さいころから人なつこくて甘えん坊な性格で、いつも一緒にいないと寂しがるため、綾さんと一緒に出勤し、昼間は会社の看板猫として“勤務”している。

 自らも「近所で保護した3匹の猫を飼っている」という木村社長。「まこが鎧を着たらどうなるんだろう?」とふと思った。早速、まこの体を採寸し、猫が着られる鎧を試しに作り始めた。「猫は体が伸縮自在なうえ、体に合わないものは嫌がります。なので、いかに負担やストレスを減らせるか、鎧の大きさやバランスを何度も採寸し直して試行錯誤を重ねました。簡易に着脱ができ、もし何かに引っかかった時でもすぐにホックが外れるよう、安全には特に配慮しました」

 ただ当初は、そうして出来上がったペット鎧を、まこが「にゃんざむらい」というキャラクターで着用して既存の兜キャップなどの商品PRをするだけだった。すると顧客から「なんで売らないの?」との声があがり、それならと商品化することに。

 2016年9月に発売し、今年1月には「おみやげグランプリ2017」(ふるさと祭り東京実行委員会)でエンターテインメント賞を受賞。だが宣伝不足もあってほとんど売れなかった。火がついたきっかけは5月末、顧客の中国の友人が、飼い犬にペット鎧を着せた写真をSNSにアップし、それが拡散されたこと。アメリカなど海外のネットメディアで話題になると、同社HPのサイト閲覧数は112万アクセスを超え、世界中から注文がくるようになった。

 注文の際は胴回りなどサイズをオーダーシートに記入。ペットの体にぴったり合ったものに仕上げるため、現在、納品までに猫用で約2週間、犬用で約2カ月ほどかかるという。価格は1万4040円〜1万6416円(猫・小型犬用、税込)。

 海外からは「クール(かっこいい)!」「これでハロウィーンは完璧」などといった声が寄せられている。中にはペットの誕生日やこどもの日などの記念日を、ペットと一緒に祝うために購入する人も。あなたの愛猫や愛犬も、サムライに変身してみる!?(デイリースポーツ特約記者 西松宏)