「大相撲名古屋場所・8日目」(16日、愛知県体育館)

 横綱白鵬(32)=宮城野=が初顔合わせの平幕宇良(25)=木瀬=をすくい投げで下しただ1人、初日から8連勝を決めた。突いていなして人気業師を完ぺき封じ。最後は豪快に“ウラ返し”、鼻血を出させた。自身の記録を更新する43回目の中日勝ち越しで単独トップ。通算勝ち星を1044勝とし、歴代2位・千代の富士の1045勝に王手、同1位・魁皇の1047勝にあと3勝と迫った。

 さすが千両役者の白鵬だ。支度部屋でのセリフまでバッチリ決めた。「宇良をウラ返したね」と囲む報道陣に向け第一声。“ややうけ”だったが、満足そうに笑った。

 格が違う。数々の奇手を操る業師を逆に手玉に取った。立ち合い、右手を相手の顔にかざし、左に飛んだ。よく見て突き、いなして中に入れない。右を差し、一気に出ると土俵際の逆転を許さない厳しい詰め。左上手で締め上げながら右から豪快にすくい一回転させ、たたきつけた。

 天を仰ぐ相手の上に体ごと乗っかかり鼻から流血までさせた。「捕まえるに越したことはない。どっちかにずれようと思って(立ち合い)手を出した。ああいうタイプは初めてだから。やる方は大変だけどお客さんは満足したんじゃない」。人気小兵と最強横綱に大いに沸いた会場で技、スピード、パワーすべてで圧倒して見せた。

 4月の春巡業で初めてぶつかり稽古で胸を出した。必死に食らい付いてきた宇良に「押す力が足らない」とゲキ。押しに磨きをかけ、自らと戦う地位まで来た。初対戦に「柔らかさがあったね」と非凡な才能が伝わった。

 この日の朝稽古、親交の深いトヨタ自動車の豊田章男社長(61)の激励を受けた。「あと5年やると思ったら3年は早いよ」と20年東京五輪の先を見据えるよう助言された。

 「体が変わった。まだ成長している。全体のオーラを感じる。孤独を楽しんでいるように感じた」と世界のトヨタの総帥をうならせた。トップに君臨し続ける者同士だからこそ通じ合う言葉。記録ロードへの新たなパワーをもらった。

 千代の富士の通算1045勝に王手、魁皇の史上最多1047勝にあと3に迫った。「一番一番」と日々同じ言葉を繰り返した。

 初日から8連勝で単独トップ。自己記録を更新する43回目のストレート給金となった。「(全勝1人は)当然でしょう」と自信満々。過去42回中30回は優勝。記録に花を添える39回目の優勝へも着々と歩を進める。