「大相撲名古屋場所・9日目」(17日、愛知県体育館)

 横綱白鵬が初顔の輝をはたき込みで一蹴し、通算1045勝目を挙げ、歴代2位の元横綱千代の富士に並んだ。同1位、元大関魁皇の1047勝まであと2勝。ただ1人、初日から9連勝とし、大記録を祝う39回目の優勝へも独走だ。平幕碧山が千代の国を寄り切り1敗をキープ。新大関高安は嘉風に屈し、2敗に後退した。

 白鵬は穴が開くほど映像で見た千代の富士をイメージした。鋭い立ち合いから突き放し、「上手は取れなかった」と“ウルフスペシャル”と呼ばれた豪快な左上手投げでの記録到達は逃したが、鮮やかなはたき込み。積み上げた1045勝目に「うれしい。早々と達成できてホッとしている」とかみしめた。

 01年5月15日に初白星を挙げてから5907日。到達年齢・所要年数は「32歳・16年」。魁皇の「38歳・23年」、千代の富士の「35歳・20年」を大幅に上回る驚異的な速さだ。

 「毎場所全勝優勝しても10年以上かかる。そう思うととんでもない記録」。千代の富士に並ぶ横綱最多は、歴代1位の1047勝と同じくらい特別な意義が白鵬にはあった。

 小さな大横綱が昨年7月31日に死去した際、白鵬はブログにつづった。「私の右四つの型も左前まわしの型も、九重親方から盗んだといっても過言ではありません」。00年来日し入門した際、62キロしかなく、映像で見たのが千代の富士。小さい体で大きな力士を投げ飛ばし、前ミツを取り一気に走る姿に衝撃を受け、教科書とした。

 今場所前、九重部屋に出稽古し、超える決意を胸にした。「(天国から)『よくやった。あと二つ、三つか』と言葉を頂けるんじゃないかな。世話になった相撲界の兄弟子を超えることで恩返ししたい」。18日、千代の富士を超え、魁皇に王手をかける。