「DeNA1−8阪神」(11日、横浜スタジアム)

 エース離脱のショックを若虎が吹き飛ばした。阪神・中谷将大外野手(24)が三回、自己最多を更新するチームトップの13号3ラン。ジェイソン・ロジャース内野手(29)も4号2ランを放つなど、先発全員安打の猛攻で快勝。この日、ランディ・メッセンジャー投手(35)の骨折が判明したが、チーム一丸で難局を戦い抜く。

 中谷の打球が港町の夜空を突き進む。絶対に負けられないゲームで、成長著しい24歳の若虎が自慢のバットで勝利へといざなった。大黒柱の負傷離脱は痛い。だが、それは強くなるための試練でもある。今こそ、全員一丸で乗り越えよう。17年シーズンはまだ続く。

 「追加点のほしい場面だったので、取ることができて良かった」

 ハイライトは1−0の三回2死一、二塁。中谷は「甘い球が来たので」と狙い澄ましたように初球のスライダーを振り抜いた。マウンド上の石田はぼう然とした表情で放物線の先を見つめる。打球は左中間席に着弾した。

 4日・ヤクルト戦(京セラ)以来、6試合ぶりの13号3ラン。7月27日の対戦でも石田から逆転3ランを放っている。流れをグッと引き寄せる一発が、中盤以降の得点にもつながった。五回には右越えの二塁打を放ち「意識したところで打てたのは良かったです」と確かな手応えも残る。8月に入り打率・333と好調。4試合連続安打と止まらないバットが、チームに勇気を与えている。

 その活躍を支えているのは屈強な肉体だ。昨年からウエートの重量が増え、体重も増加。栄養士の教えを請うなど食事管理も徹底しており、酷暑の夏場でも体重の減少はほとんどないという。球団トレーナーも「チームトップクラスの筋力を持っています。定期的に刺激を与えることで、それを維持できています」と太鼓判を押す。

 転機は15年1月のグアム自主トレ。五輪3大会連続で金メダルを獲得した柔道家の野村忠宏氏と出会い、感銘を受けた。「人生で一番追い込んだ」という経験が、今に生きている。リーグ10位タイの13本塁打が進化の証し。金本監督も「中谷の一発が大きかったですね」とこの日の一撃を褒めた。

 メッセンジャーが右足腓骨骨折で今季絶望的。それでも、チームは前を向いている。今季、中谷の横浜スタジアムでの打率は・412。頼りになる男、5番に堂々と座る。「勝っていきたいです」。目指すは王者の背中。進撃の起点になる男が打って、打って、打ちまくる。