「DeNA1−2阪神」(12日、横浜スタジアム)

 阪神がベテランの独壇場で、勝利をもぎ取った。0−1で迎えた八回、無死二塁から福留孝介外野手(40)が投手強襲の同点打。1−1で迎えた延長十回には、左翼ポール際へ勝ち越しの決勝ソロを放った。これが日本通算250号のメモリアル弾。今季、福留が一発を放てば負けなしの12連勝で、不敗神話も継続だ。

 チームが苦しい時、助けてくれる。試合を決めたのは、やはりこの男だった。日本通算250号本塁打は、試合を決める今季12号ソロ。福留は「記念の1本が一番いいところで出てくれた。勝ちにつながってよかった」と振り返る。ダイヤモンドを悠々と回った。

 メモリアル弾は、期待通りの場面で飛び出した。1−1の延長十回1死。「外(外角球)が多くなるだろうと思っていた」としっかりと体を入れてスイングした。「芯に当たってくれた」という低弾道の打球は、グングン伸びて左翼ポール際に着弾。逆方向へ放った技ありの一打だった。

 ホームベースを踏むと、記念の花束が手渡される。勝ちを引き寄せた一発に、節目の記録達成。二重の喜びを虎党の大歓声が包み込んだ。250本の中で最も印象に残った本塁打はとの問いには「覚えてませーん」とおどけながら笑う。だが、この日の1本も幾度となく勝負強さを発揮してきた男の記憶に深く刻まれたはずだ。

 福留が魅せたのは決勝打だけではない。三回2死一塁の守備では右中間へのライナーをダイビングキャッチ。「なんとか助けてやりたい気持ちだった」。抜けていれば先制の可能性もあっただけに、能見を助けるビッグプレーとなった。さらに0−1の八回無死二塁では投手強襲の同点打。“福留デー”と言える大活躍で、勝利に導いた。

 数々の記録を打ち立てていく40歳。まだまだパフォーマンスが落ちることはない。ここまで一流を極めたゆえんは、生まれ持った才能もあるかもしれない。だが、福留は話す。

 「周りからたまに、『いいね、好きなことを仕事にできて』と言われることがある。でもそれは違うでしょ、と。じゃあそのために小さい頃から、友だちと遊ぶとか、他にやりたいことを削ってでも努力しましたか?っていう話」

 これから夢を追いかける子どもたちにも、プレーで伝わるはずだ。努力は実を結ぶ−。それを背番号8が示し続ける。