「陸上・世界選手権」(13日、ロンドン競技場)

 男子50キロ競歩は、リオデジャネイロ五輪銅メダルの荒井広宙(29)=自衛隊=が3時間41分17秒で銀メダル、小林快(24)=ビックカメラ=が銅メダルを獲得した。日本勢が同一種目で複数メダルに輝くのは03年大会の女子マラソンで野口みずきが2位、千葉真子が3位に入って以来、14年ぶりの快挙となった。

 再び荒井が競歩界の新たな扉をこじ開けた。堂々たるレースぶりで、銀メダル。さらにゴールまでペースを作り、若手の小林の銅メダルをアシストすると、丸尾も5位に入賞した。銀メダル、ダブルメダル、トリプル入賞はすべて日本競歩界初。「夢だと思っていたことがどんどん現実になっていく。うれしい」と顔をくしゃくしゃにして喜んだ。

 リオ五輪では終盤に他国の選手との接触があり、ゴール後一時失格となるすったもんだがあった末のメダル獲得。ただ、手にした勲章は、荒井に自覚と責任を与えた。今村競歩部長は「今までは谷井(15年北京大会銅メダル)らの影に隠れていたけど、自分の役割を分かるようになった」と話す。練習の合間には若手を卓球に誘いリラックスムードを作り、レースでは小林に「大丈夫だ、メダルいけるぞ!」と声を掛け続けるなど、チームをけん引し続けた。

 五輪後に始めた趣味のドローン(10万円)による写真撮影の効果か、自らの立場を俯瞰(ふかん)できるようになった男。「競歩はまだ発展途上。もっともっと強くなる」。さらなる日本競歩の躍進のために、先頭を歩き続ける。