「大相撲7月場所・14日目」(1日、両国国技館)

 関脇正代(28)=時津風=が単独トップの平幕照ノ富士を寄り切り、11勝目(3敗)を挙げて1差に接近、逆転初優勝へ望みをつないだ。怒とうの攻めで“ガッツポーズ”も飛び出す気迫を見せ、4人が賜杯を争う大混戦に持ち込んだ。千秋楽は新大関朝乃山との3敗対決に臨む。2敗で変わらず単独トップの照ノ富士は3敗を守った関脇御嶽海と対戦。勝てば2015年夏場所以来2度目の優勝が決まる。御嶽海が勝てば1994年春場所以来の優勝決定巴(ともえ)戦になる。

 正代は土俵でさがりを拾うと、握った拳を思い切り回した。“ネガティブ発言”で知られる男が闘志全開の満点星。「好調の相手だったので前日夜から意識をしていた。そういうのが決まった瞬間に出たのかな」と、勝利の瞬間の“ガッツポーズ”を振り返った。

 照ノ富士とは17年秋場所以来の対戦で、過去5勝4敗と苦手な相手ではない。立ち合い、もろ差しで巨漢を押し込んで起こすと、引いて崩して最後ももろ差し。猛攻で土俵外に吹っ飛ばした。

 「(勝利は)うれしかった。立ち合い、中途半端に当たって持っていかれるくらいなら思い切り前に出ようと集中した」。元大関だが今は幕尻で自身は関脇。番付の意地もある。簡単に優勝させるわけにはいかなかった。

 照ノ富士を2敗に後退させ、1差で千秋楽に初優勝の望みをつないだ。故郷熊本は16年に地震に遭い、今場所前には豪雨被害に見舞われた。「地元の人が喜んでくれたらうれしい」との思いで気迫あふれる相撲が続く。

 場所前、地元の宇土市後援会に正代から人気のご当地ゆるキャラ「くまモン」の絵柄が入った黒い反物が送られた。この反物でマスクを作り関係者に配布。故郷は一丸となり県勢初賜杯を待望する。

 同後援会の金田光夫会長によれば、正代は今年、同市にふるさと納税したという。そんな郷土愛あふれる男が勝つと同市では花火が上がる。この日は5発をド派手にぶち上げ、費用は約2万円。会長は「お金がない」とうれしい悲鳴だ。優勝を惜しくも逃した今年初場所では祝賀パレード計画も進んでいた。「今度こそリベンジ」と同会長の鼻息は荒い。

 賜杯争いを4人の大混戦に持ち込んだ。千秋楽、御嶽海が照ノ富士に勝ち、自身が結びで朝乃山に勝てば巴戦。「意識すると硬くなる。頭の片隅に置いておく」。自力Vはないが終盤の勢いは正代が一番だ。