今年でデビュー45周年を迎えるシンガー・ソングライター、吉田美奈子(65)が、森俊之(ピアノ)とのデュオで全33公演の全国ツアーを行っている。16日、神戸チキンジョージ公演を終えた吉田にインタビュー。話題はツアーのテーマや選曲から、ゆかりのミュージシャンや家族にまで及んだ。

 その(3)では、日本を代表するミュージシャンで、吉田にとって特別な存在という細野晴臣や、故大滝詠一さんから提供された名曲「夢で逢えたら」などについて語る(※ライブの内容に触れています。ご注意ください)。

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 ライブの8曲目、細野晴臣が作詞作曲した小坂忠の名曲「ボン・ボヤージ波止場」(1975年の名盤「ほうろう」に収録)が歌われた。吉田が曲を紹介すると、客席から「ありがとう!」という感謝の声が飛んだ。

 「あれ、大好きなんですよ。ホントにいい曲で。細野さんの曲は温度がすごく感じられるので、大好きですね」

 昨年のツアーでも、細野の名盤「HOSONO HOUSE」(73年)から選曲しており、吉田にとって細野は特別な存在だという。吉田は69年、高校1年生の時に細野と知り合ったのがきっかけでミュージシャンの道を歩んでおり、自身と細野、ローラ・ニーロを結ぶ秘話も明かした。

 「もうホント特別です。ホントに尊敬している先輩だし、彼の背中を見て音楽を始めたわけですから。最初に細野さんとデュエットした時に、細野さん、セミアコのギターを弾いてくださって、私、歌ったのローラ・ニーロの曲なんですよ。そういうこともあるし。あの人の背中をホントずっと見て音楽やって来たので、元気でいてほしいなと思います」

 アンコールでは「3月21日発売の曲をやります」と前置きして、故大滝詠一さん作詞作曲の「夢で逢えたら」が歌われた。

 多くのアーティストがカバーし、ラッツ&スターのバージョンが大ヒットするなど「夢で逢えたら」はいまや日本ポップスを代表するスタンダード・ナンバーだが、オリジナルは1976年の吉田版だ。

 3月21日には大滝さんがプロデュースしたシリア・ポールのアルバム「夢で逢えたら」が拡大リイシューされた。86バージョンの「夢で逢えたら」が収録された4枚組CD「EIICHI OHTAKI Song Book 3」もリリースされ、吉田のオリジナルが1曲目、2018年の最新バージョンがラストに配されている。また、最新バージョンを収録した5曲入りアナログ盤も同時リリースされた。

 「CD(『EIICHI−』)は一番最初を私のオリジナルで、最後また私の、2人で録ったやつが入ってるんですけど。その始まりと、終わりではないし−皆さん語り継いでいる曲なので−終わりではないけれども、オリジナルを歌った私がたった今のこのトシで歌ったものを収録できないか相談して、それでナイアガラがやってくださって」

 「夢で逢えたら」には語りが入っているが、吉田はライブで「もし詠一さんに逢えたら…」と、大滝さんに語りかけるように変えている。

 −今回のツアーではずっと「夢で逢えたら」を歌われているのでしょうか。

 「そうですね。ずっと歌ってますね。皆さんやるととっても喜んでくださるし、昔のそっくりそのままやってるわけじゃないし。今の感じで歌ってるので。私じたい、セリフ言うのが恥ずかしいので、いろいろと変えたりなんかするんですけど」

 北は札幌から南は熊本までを回る今ツアーは、3月31日に東京公演で開幕した。

 まだ「3分の1は行かない」段階だが、吉田は「皆さん、ものすごく真剣に歌詞を聴いてくださるので。終わりの方になるとだんだん話をすることが多くなって。たぶん自分の人生というか思いに照らし合わせてその詞を聴いてくださるんだと思うんですけど、ホント真剣に静かに聴いてくださいます。それは良かったと思う」と、手応えを感じている。

 6月29、30日の東京・ブルースアレイジャパン公演まで、約3カ月の旅が続く。

     (終わり)