阪神、オリックスで監督を歴任し、デイリスポーツ評論家を務める岡田彰布氏(63)が、自身の経験を基に球界の話題を深掘りする「岡田辞典」−。今回は日本シリーズで2年連続のスイープを達成したソフトバンクの強さを分析した。ポイントに挙げたのは守備力と、それを養うイニング間の練習。細かいことの積み重ねがいかに重要かを指摘した。

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 日本シリーズはソフトバンクの強さが光ったよな。第3、4戦をペイペイドームで取材したんやけど、さすがと思えるシーンがあったんよ。それはイニング間の動き方−。約2分30秒の中に、チームとして意識の高さを感じさせられたな。

 まずは正捕手の甲斐よ。投球練習の最後に二塁へスローイングするんやけど、一回から九回まで全部、力強いボールを放っとった。しかも送球は全部、二遊間がタッチしやすいところにコントロールされてな。

 甲斐くらいの選手になると、別に抜いたスローイングをしても誰も文句は言わんよ。それでも相手ベンチに見せつけるように、正確で力強いボールを投げる。あれを見せられたら相手も盗塁のサインはよう出されへんし、選手も躊躇(ちゅうちょ)すると思う。そして何より球場に来たお客さんも、喜ぶんとちゃうかな。

 そして甲斐だけでなく、内野陣もさすがやと思ったな。イニング間にピッチャーが投球練習をしている間、内野手は一塁からゴロを転がして送球練習をするんやけど、一塁に入っていた中村晃がどんどん二塁、遊撃、三塁にボールを送る。イニング間で各ポジションの選手が最低でも3球はボールを受けて、一塁に投げとった。

 松田宣はもうベテランの域に入って自分で送球の強さとか調整していたけど、牧原と周東は真剣よ。強くて正確なボールを一塁に投げていたし、ただボールを捕るのではなく、バックハンドで捕ったり、難しい体勢から投げてみたり−。これはもう、すごいと思わせられたよ。

 ソフトバンクは今シリーズ4試合で失策が2個。牧原の送球ミスとムーアが打球を捕り損ねたんやけど、それ以外では他球団だったらものすごいプレーも“普通”にこなしてるように見える。いわゆるファインプレーが当たり前のプレーに見えるんよ。

 その要因がイニング間の“練習”にあると思ったな。本当に細かいところやし、テレビ中継では見られへんところなんやけど、色んなことがプラスアルファになっている。特に牧原や周東は来季、レギュラーが確約された立場ではないと思う。実績のある今宮も故障から戻ってくるけど、みんな安泰ではないんとちゃうかな。

 そういう危機感も練習やプレーの端々から伝わってくる。そして今シリーズ打つ方に目が行きがちやったけど、打線は相手があること。一方で守備は計算できる。そこがしっかりしているのがソフトバンクの強さやと思うし、他11球団が見習わなアカンところやと思うよ。