阪神、オリックスで監督を歴任し、デイリースポーツ評論家を務める岡田彰布氏(63)が、自身の経験をもとに球界の話題を深掘りする「岡田辞典」−。現在、球界で話題となっているセ・リーグのDH制導入について、岡田氏はメリット、デメリットがあると指摘。その上で球界がさらに議論を尽くし、ベストな選択がなされることを望んだ。

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 今、プロ野球界でセ・リーグもDH制を導入しようという巨人の主張が話題になっとるな。DH制のない阪神、DH制のあるオリックスで監督を務めさせてもろうたんやけど、やっぱりメリット、デメリットはあると思うよ。

 まずメリットの部分で指摘すると、先発投手が成長するわな。打順が回ってきたところでの代打を考える必要もないし、純粋にピッチャーの調子、状態だけで交代機を判断することができるんよ。やっぱり1イニングでも長く投げた方がピッチャーは成長する。

 野手への影響や故障者が少なかったという部分に関しては、ちょっと判断がつきかねるけど、純粋にピッチャーのことだけ考えればええわけやから。監督からしてみれば、相手ベンチの打順や代打策も考えなくてよくなる。だいぶ楽よな。そこでデメリットの一つとして挙げられるのが、“野球の面白さ”が無くなるとこやと思う。

 投手交代や代打の場面というのは一番、ゲームが動くポイントよ。それがDH制になってしまうと、ピッチャーが良かったから勝った、バッターが打ったから勝ったという試合が増えるんよ。

 勝負の分岐点というのは、監督をやっていて一番の醍醐味やった。それが強者を倒すポイントにもなる。そしてセ・リーグのファンは継投であったり、代打策であったり−。例えば「次のイニングで投手に打順が回ってくるけど代打を出すんやろうか」「ここでピッチャーを代えてつないでいくんやろうか」。そういう戦略的な楽しみ方をしている人もいると思う。

 だからDH制の導入には一長一短があると俺は思うよ。その上でセとパが同じルールにする必要はないと思うし、それぞれが特徴を持ったリーグ同士でええんちゃうかなというのが考えとしてあるんやけど…。

 いずれにせよ一度、導入を決めてしまったらまた元に戻すことは難しい。来年は現行制度でやるわけやから、まだまだ議論の余地はあるし、さまざまな意見があっていいと思う。そしてDH仕様のチーム編成をするには、最低でも3年は見とかんとあかん。とにかく議論を尽くして、プロ野球のためにこれが最善と言えるような選択をしてほしいよな。