「阪神0−1巨人」(11日、甲子園球場)

 こういう負けは悔いが残るんよ−。阪神はわずか1安打完封負けで、2位・巨人に1・5ゲーム差と迫られた。バックネット裏からこの一戦を見届けたデイリースポーツ評論家・岡田彰布氏(63)は、八回の攻防が勝敗を分けたと分析。前半戦残り3試合、そして後半戦に向けて「相手ベンチに考えさせる」重要性を説いた。

 わずか1安打の完封負けに、聖地は大きなため息に包まれた。9回1失点完投の西勇を見殺しにし、宿敵に1・5ゲーム差へ迫られた一戦。バックネット裏から見守った岡田氏は、八回の攻防を焦点に挙げつつ「もっと巨人ベンチに考えささんと」と語気を強める。

 「1点を取られた後の八回よな。何で代打を出さんかったのか。長打がある陽川を昇格させて、ロハスもいて、糸井もいる。極端に言えば昨日、佐藤輝を途中交代させてるんやったら、左の大江が来た時点で佐藤輝に代打でも良かったと思う」

 岡田氏がポイントに挙げた八回裏は大江に対し、佐藤輝が三振、梅野は遊飛、中野も三振に倒れた。九回もビエイラの前にあっけなく三者凡退。巨人側からすればさらなる継投も視野に入れていた中、阪神が代打で起用したのはロハスのみで、原口らを含めベンチに打てる駒を残したまま敗れた。

 「もし佐藤輝に代打を出したら相手ベンチも考えるよ。そういう野球をやってくるんやなと。手を打つことできょうみたいなゲームを動かせるし、今後に向けて伏線を張ることもできる。巨人は継投でそういうことをやってきたやんか」

 6月20日の巨人戦、代打・北條の打席でカウント2−2から高梨に代えて鍵谷を投入し、ピンチを脱した。予想外の一手を打って成功すれば、そのイメージは今後の戦いに植え付けられる。

 「だから巨人ベンチからすれば楽やったと思うよ。簡単に1−0の終盤が流れてな。阪神もそのゲーム(6月20日の試合)で中野に代打・北條を出したわけやから。そう決めたのであれば、ここでも出さんと。采配の意図が見えず、一貫性が無くなってしまう」

 八回の守備でも無死二塁から北村に1球で送りバントを決められ、続く大城にはカウント0−2から外角低めの変化球で勝負し、三遊間を破られた。

 「あそこも簡単に送らせる場面やない。梅野からバントシフトのサインも出ず、ボールで入って相手の出方を見る慎重さもなかった。0−0の八回よ。大城の場面も、三塁走者がギャンブルスタートのしぐさを見せとった。まだボールを3つ投げられるし、バットの形状は根元の方が細いやろ?前に飛ばさせないために、時間をかけて最後に内を突くとか選択肢はあったよな」

 この試合まで貯金17、巨人と2・5ゲーム差で首位の阪神からすれば、引き分けでも“勝ちに等しいドロー”だった。「だからめちゃくちゃ痛いし、やるべきことをやってない負けは悔いが残るんよ」−。前半戦は残り3試合、そしてGとのV争いは後半戦へ続く。「相手に考えさせる。それが長丁場の戦い、ペナントレースでモノを言う。これだけ貯金があるんやから。思い切ったことをやれる状況なんやから」と説いた。