「阪神2−8広島」(29日、甲子園球場)

 阪神、オリックスで監督を歴任したデイリースポーツ評論家・岡田彰布氏が29日、甲子園で行われた阪神−広島戦で本紙の解説を務めた。最大の焦点に挙げたのは、八回2死一塁の場面で勝ちパターンの小川から、直近は主にビハインドの展開で投げていた岩貞へのスイッチ。残り約20試合の段階で首位・ヤクルトを追うためにラストスパートを宣言していた中、悔いを残す継投のポイントを解説した。

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 阪神にとっては悔いが残る黒星となった。勝負を分けたのは八回だ。阪神は2死一塁からイニングをまたいで好投していた小川に代え、岩貞を投入した。代わりばなに四球を与え、代打・松山、そして大盛に連続適時打を浴びて3失点。ゲームは壊れてしまった。

 この試合は最低でも1点ビハインドのまま、九回裏の攻撃を迎えることが鉄則だった。そのためにベンチも六回から勝ちパターンの及川を投入したはず。そして七回から登板した小川には、イニングをまたがせた。

 継投の考え方として、勝ちパターンの投手でつないでいったのであれば、番手が落ちる投手を挟んではいけない。岩貞はここ数試合、勝ちゲームで投げた投手ではない。“あわよくば”という考えは絶対に禁物だ。

 そして残り試合数を考えれば、もうラストスパートの段階。絶対に岩貞ではなく岩崎を投入すべきで、九回までの4アウトを託すべきだった。仮に球数で回またぎが厳しくなれば、スアレスを投入してもいいゲームだ。

 現状、阪神は首位・ヤクルトを追いかける立場。序盤でヤクルトが劣勢に立たされているという事実は、ベンチも分かっていたはず。差を詰めるためには引き分けでも良かった。そのためにも、九回裏まで1点ビハインドを保つ必要があった。

 そして継投は単に失点を防ぐだけでなく、野手陣の奮起を呼ぶ一手にもなる。岩崎、スアレスを投入することで、チームに“あきらめていない”という考えを伝え、仮に2人が打たれたとしてもナインは納得ができる。

 現役時代は野手だったため、ビハインドの展開で勝ちパターンの投手をベンチが使えば「絶対に逆転する」と気持ちを高めることができた。そして打てなければ打者の責任と受け止め、次戦に向けて前を向ける。逆に「えっ!?」と思うことがあれば、その事実をチーム全体が引きずってしまう。

 その経験を踏まえても、この優勝争いの最中、選手が疑問を抱くような采配をしてはいけない。終盤2イニングの淡泊な攻撃は、どこか野手陣の気持ちが切れてしまっていたようにも映った。

 ベンチだけではなく、チーム全体に悔いを残す1敗。そしてここからはヤクルトを見て、戦っていかなければならない。現状、阪神は首位ではなく2位だ。その事実を踏まえた上で、打つべき手を打たなければならない。そして絶対に悔いを残すゲームをしてはいけない。