神宮球場を初めて訪れた。近隣の国立競技場や秩父宮ラグビー場は何度も取材で訪れ「スタジアム通り」もよく歩いた。神宮球場はいつも横目で眺めるだけだったが、見慣れた風景でもあった。

 トラ番を拝命してようやくできた神宮球場とのご縁。天井の低いバックネット裏記者席など、目に入るものは新鮮であり、歴史の重みも感じた。開場は1926年。大正最後の年で、甲子園の2年“後輩”になるという。

 そんな古き良き球場も神宮外苑の再開発の影響で解体が決まっている。隣の神宮第二球場跡地に全天候型のラグビー場を建設し、ラグビー場跡地にホテルを併設した新たな神宮球場を建てるという。

 国立競技場や日本青年館など、神宮周辺は次々と建て替えられている。事業完了は36年とまだまだ先だが、親しみある風景がまた一つ変わっていくことに一抹の寂しさもある。(山本直弘)