『週刊ダイヤモンド』6月20日号の第1特集は「コロナ倒産連鎖 衣・食・泊 存亡ランキング」。新型コロナウイルスに関連する倒産が200件を超えました。消費の“蒸発”に加え、固定費率の高いビジネスの構造で、「衣・食・泊」の業界にコロナ倒産の嵐が吹き荒れています。

200件を超えた「コロナ倒産」
5月は倒産全体の3分の1を占めるまでに

「社会が機能停止している“異常事態”だ。新型コロナウイルスの影響により、倒産の手続きすら進められなくなっている」――。

 帝国データバンク東京支社情報部の綴木猛氏は、こう驚きをあらわにする。同社によれば、5月の倒産件数は前年同月比56%減の288件。5月の数字としては同社が統計を取り始めた1964年以降、過去最少となった。月間の倒産件数が300件を下回ったのも55年ぶりだ。

 この少なさはもちろん、景気の好調を意味しない。コロナによる緊急事態宣言の影響で、倒産などの法的手続きを担う裁判所が業務を縮小。企業が弁護士に相談しようにも面会すらままならず、倒産手続きそのものが進まない。

「全ての倒産案件を処理し切れておらず、休業との線引きが難しい社会情勢になっている。倒産予備軍の数はものすごく多い」と綴木氏は指摘する。

 企業倒産が“歴史的”な数字を記録する中で、着実に増え続けているのがコロナに関連した倒産である。

 コロナによる影響を受けた倒産は6月8日時点で227件。5月は倒産件数全体の約3割を占めるまでに至った。

 そしてコロナ倒産は、昨年までの倒産とは違う傾向を示している。大打撃を受けているのは、「衣・食・泊」の業界だ。

 もともと倒産件数が多い業種として知られているのは建設業や製造業、飲食店だ。ここ数年は人手不足倒産も話題となり運輸業も増加傾向にあった。だが、今回のコロナ倒産で最も多い業種はホテル・旅館の40件。次いで飲食店の30件、アパレルの17件、食品製造の15件と続き、飲食店を除けば、これまでの“常連”とは別の顔触れが上位に来ている。

「コロナ倒産した企業の課題を見ていくと、固定費の割合が高かった。休業を余儀なくされ、固定費率が高いために資金が飛びやすく、倒産という形を取らざるを得なかった」(綴木氏)

 実際に業種別の固定費率を見ていくとホテル・旅館は70.0%、飲食店は62.1%、アパレルは44.2%(帝国データバンク「全国企業財務諸表分析統計」)。固定費率の高さと、コロナ倒産件数の多さは比例しているのだ。

 固定費の高さに加え、衣・食・泊のコロナ倒産が多いことは、当然ながら消費が“蒸発”したことも影響している。実際にどれだけ消費は落ち込んでいるのか。

 国内のJCBカード会員のうち無作為抽出した約100万人分の決済データを分析した「JCB消費NOW」によると、5月前半の消費の落ち込みは、ホテルがマイナス87.1%、百貨店がマイナス73.2%、外食がマイナス60.0%、アパレルがマイナス20.4%などとなっている(前年同月比)。

 データ分析を手掛けるナウキャストの辻中仁士CEO(最高経営責任者)は、「データからは5月上旬の下げ止まりが確認できるが、本格的な回復はこれから」と語るものの、もしも今後第2波が到来して緊急事態宣言が再び発令されれば、この規模の消費が吹っ飛びかねない事態に陥る。