株価を動かすのは将来の業績だが、コロナ禍では今期の業績予想は難しい。そこで注目したいのが直近数年間の業績推移だ。中長期で高成長を続ける企業であれば、経営力が高く、参入障壁の高いビジネスを展開している確率が高い。『恐慌決算の勝ち組・負け組』(全10回)の#2では、厳しい7条件を突破した精鋭候補を紹介する。

「週刊ダイヤモンド」2020年6月6日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

【安定成長株ランキング】
7条件クリアのエリート銘柄

 平時であっても企業の業績を予測するのは難しい。新型コロナが直撃した今期は、さらに予測が困難といっていいだろう。

 実際、例年であれば本決算時に公表される今期予想を多くの企業が発表できていない。コロナ危機に対する前提の置き方や終息のタイミング次第で、計画値から大きくブレる可能性もある。

 そこで注目したいのが、過去の業績推移である。なぜならば、中長期で安定的に成長している企業であれば、経営力が高く、他社が簡単にまねできないビジネスを展開している確率が高いからだ。

 これらの企業を中長期で保有できれば、株価の2倍、3倍も十分に期待できる。本特集では、マネックス証券のマーケット・アナリストの益嶋裕氏のアドバイスを参考に、ダイヤモンド編集部が「安定成長株」の七つの条件を設定。ハードルをクリアした企業を今期予想の営業利益の伸び率の高い順に並べた。特に注目度の高い企業は、分析コメントや詳細データを付けた。

 では、早速トップ5を見てみよう。

 七つの条件のうち、「直近10期の売上高と営業利益が7回以上伸びていること」は、好不調が激しい企業を除外するため。利益だけでなく、売上高の伸びも条件にしたのは、成長企業を抽出したいからだ。リストラ頼みの利益拡大には限界があり、中長期の株価上昇には売上高の伸びも欠かせない。

「直近5期の売上高伸び率」と「直近5期の営業利益伸び率」も条件に加えた。成長企業であれば年率7%の増益は確保しておきたいが、ランキングに登場する70銘柄のうち56銘柄は年率10%以上で利益を伸ばしている。

 売上高営業利益率は、収益力の高さを判断するための条件。業態によって基準は異なるが、この数値が2〜3%程度しかない場合、ちょっとした外的要因や減収により利益が激減する。新型コロナが終息しても、景気が停滞するリスクが高いだけに、直近5期平均で5%以上を最低ラインとした。

「時価総額100億円以上」と「自己資本比率50%以上」は企業としての安定度と、財務の健全度を確保する意図がある。ただし、時価総額は小さい方が成長の余力があるとも考えられるので、条件をクリアしていればOKだ。

 今回はスクリーニングの条件にPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)など株価の割安度を見る指標を加えていない。コロナショックのような全体相場の急落時に買えれば理想的ではあるが、こだわり過ぎると優良株を買い逃す可能性が高いからだ。

 代表例が医療関係者向けの情報を提供するエムスリー。今期予想を非開示のためランキングには登場していないが、同社は常に50倍以上のPERを付けながら、10年間で株価は10倍以上になった。今年4月も新型コロナ危機の中で、上場来高値を更新している。

 多少PERが高くても、高水準の成長を継続すれば株価はいずれ高値を更新する。四半期決算などで成長力鈍化に注意しつつ、中長期で大きな値上がり益を狙いたい。

【安定成長株ランキングの見方】
対象は3月期決算で、5月18日までに決算を発表した上場銘柄。下記のスクリーニングをクリアした企業を対象に、今期予想の営業利益の伸び率が高い順にランキングした。また、ランキング上位企業のうち、注目度が高い銘柄は分析コメントや詳細データを付けた。銘柄分析はラカンリチェルカの村瀬智一氏。

〈スクリーニングの条件は下記の通り〉
直近10期の増収回数と増益(営業利益)回数が各7回以上
直近5期の売上高の伸び率が年率4%以上
直近5期の営業利益の伸び率が年率7%以上
直近5期の売上高営業利益率の平均が5%以上
時価総額が100億円以上
自己資本比率が50%以上
前期実績が営業増益で売上高営業利益率が5%以上

*HDはホールディングスの略。順位は小数第2位以下を加味している
データ提供:マネックス証券 チャート画像提供:KEN&BRAINS

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