高い利回りが期待できる高配当株だが、収益が大きく落ち込めば減配や無配転落の可能性もある。そこで特集『恐慌決算の勝ち組・負け組』(全10回)の#4では、今期の会社予想を開示していて、大幅減益でない企業をスクリーニング。予想配当利回りが高い企業を選抜し、ランキングを作成した。

「週刊ダイヤモンド」2020年6月6日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

利益が大きく下がらない
コロナ禍でも比較的業績堅調な銘柄

 この4年間、株価は下がり続けているのに、高配当株として個人投資家の人気を集めてきた不思議な株がある。JT株だ。

 2016年初頭に5000円近くまでいった株価は、現在2000円前後と半分以下で推移している。予想配当金を株価で割った予想配当利回りは7.57%に達する(5月19日終値)。

 高配当株の代表として人気を集めてきた背景には、ため込んだ利益を元手に16期連続で増配を重ねてきたことがある。

 今でも国が大株主であり、財務体質は良好。財務の安全性を示す自己資本比率は48%を誇る。

 前期の売上高営業利益率も23%と高収益だ。今期の営業利益はマイナス9.2%と減益を予定しているが、今期の利益予想を出せない企業が続出する中では、健闘している部類に属する。

 次のランキング表は全上場企業を対象に、予想配当利回りの高い順に並べたものである。

 ただし、今期の営業利益予想がマイナス30%以上、もしくは未発表の企業は除いた。配当予想が高くても、収益が落ち込めば、減配を余儀なくされる可能性が高いからだ。

 また、予定通りの配当金を受け取ったとしても、株価が下落してしまっては元も子もない。足元の業績が好調な企業は、市場全体が大きく下げても、市場の下落率ほど下げないことが多い。

 そうした観点から、今回は業績変動の激しい銀行(特に地方銀行)、証券、不動産セクターに属する企業をランキング対象から除外している。

 さらに、配当性向が100%以上、つまり配当金が純利益の額を超える企業も除いた。純利益以上の配当を行えば、それまでため込んだ利益を取り崩すことになる。これは、株主にとってもゆゆしき事態である。

【高配当株ランキングの見方と算出方法】
全上場企業を対象に、予想配当利回りの高い順にランキングした。ただし、以下の条件に該当する企業は除いた。
・業績変動が激しい銀行、証券、不動産セクターに属する
・予想配当が未定
・今期の予想増益率が▲30%以上、もしくは予想営業利益が未発表
・配当性向が100%以上
「計算式」
予想配当利回り=予想1株配当金÷株価(5月19日終値)×100
予想増益率=(今期予想営業利益−前期営業利益)÷前期営業利益×100
予想PER=株価(5月19日終値)÷予想1株利益

*HDはホールディングスの略 データ出所:日経QUICK

連続増配が16年でストップした
JTの配当性向は約90%

 ランキングの1位は前述のJTである。予想配当利回りは唯一の7%台。これは株価が年初来で約15%落ち込んでいることにも起因する。

 下落の理由は、新型コロナウイルスの影響だけではない。今期は配当を前期並みの1株154円に据え置いたことが大きく影響している。連続増配の記録が16年でストップしたのである。

 表中には配当性向を表記しなかったが、JTのそれは90%に近い。

 つまり、前期並みの配当を維持するだけでも、稼いだ利益のほとんどを吐き出す必要があるということだ。いくらこれまでの蓄えがあるといっても、いつまでも続けられる配当政策ではない。

 JTの事業環境は厳しい。国内では喫煙者の減少が続いている。今年4月には、受動喫煙の防止を強化する「改正健康増進法」が完全施行され、喫煙人口はさらに減る見込みだ。

 コロナショックも追い打ちをかける。インバウンドで増加傾向にあった免税販売にも急ブレーキがかかっている。

 7%超の配当利回りから、JTの株価は現在2000円水準で下げ止まっている。だが、収益が落ち込めば減配リスクもあることから、株価は浮上のきっかけをつかめない状況にある。