『週刊ダイヤモンド』7月4日号の第1特集は「保険 コロナ時代の最強見直し術」です。コロナ禍が企業業績や雇用情勢を大きく悪化させる中で、私たちの家計にも大きな影響を及ぼし始めています。民間調査によると、生命保険への支出額は年間平均で40万円前後。家計の平均年収と比較すると実に7%に当たります。今後契約の見直しは必至ですが、一体何を判断基準にして保険会社や商品を選べばいいのでしょうか。今特集では商品の特性から各保険会社の経営実態まで、さまざまな角度から保険との向き合い方について探りました。

大手生保は「競争力の源泉」に制約
損保は契約者の期待を裏切ることに

「顧客が能動的に保険を検討することは、通常少ないですからね」 

 明治安田生命保険の根岸秋男社長は、生命保険という金融商品の特性についてそう率直に語る。

 だからこそ、3万人を超える「生保レディー」を抱えて、顧客と対面しながら今後の生活設計を聞き、ニーズを丁寧に掘り起こしていくという、地道な営業が不可欠というわけだ。

 対面営業は、特に大手生保の競争力の源泉になっているが、コロナ禍はまさにその部分に大きな制約をかけてきた。

 そして緊急事態宣言下で、生保レディーがつかめなかった医療保険などの新契約は、オンライン募集を軸とするネット生保に一気に流れていった。

 今後それが本流となるかどうかは、コロナの動向によるところが大きい。ただ、旧来の「プッシュ型営業」の限界が改めて浮き彫りになり、デジタル化に向けた大きな転換を迫られ始めているのは確かだ。

 さらに、かつての営業スタイルを今後完全に取り戻せたとしても、そこには運用難によって魅力ある商品をなかなか提案できないという現実が待ち受けている。

 生保だけではない。コロナ禍は、損害保険各社のウイークポイントもあぶり出した。

 それは新型感染症のパンデミック(世界的流行)に対し、商品や体制の面での備えと提案が不十分でほとんど補償ができず、企業をはじめとした契約者の期待をことごとく裏切ったということだ。

 一方で損保業界は、影響が限定的だったことで大きな損失を免れたと胸をなで下ろし、コロナが終息すれば、そうした契約者からの批判的な雑音は次第に収まるだろうと、高をくくっている節さえあった。

 そうした姿勢を見て、鉄ついを下したのが経営を監督する金融庁だった。2007年の「不払い問題」以来ともされる、損保と金融庁の補償方針を巡るバトルは、今後どのような決着を迎えるのか。大手損保の一部で、休業補償の拡充などを巡っていまだに続く舞台裏での激しい攻防の様子からは、政治家やOBを巻き込んだ厳しい利害の対立が垣間見える。

 そうした混乱のさなかにあり、家計が厳しさを増す状況で、私たちは契約者として保険とどう向き合っていくべきなのか。特集では保険会社としての経営姿勢からそれぞれの商品の特性まで、さまざまな角度から探っていく。