今回で4年目となる恒例の好評企画「40歳年収が高い企業ランキング」。全上場企業を対象として、独自に「40歳時の年収」を推計し、その結果をランキング形式で大公開します。今回は電機業界にフォーカスします。(ダイヤモンド編集部副編集長 鈴木崇久)

「電機業界」の40歳年収ランキング
家電メーカーの存在感が希薄

 自動車業界と並び日本の製造業の柱である電機業界。今回は、その中の「年収序列」にフォーカスしたいと思います。

 今年で4年目となる恒例の好評企画『40歳年収が高い企業トップ1000社ランキング【2020年版】』の中から電機業界を抽出。「40歳年収が高い会社ランキング【電機編】」をお届けします。

 では早速、トップ5を見てみましょう。

上位には「カテゴリーキラー」がズラリ
ソニーは今や電機メーカーではない?

 電機業界の1位に輝いたのは、高年収で名をはせるキーエンス。主に工場の自動化(ファクトリーオートメーション、FA)用機器の制御に使うセンサーを扱っています。40歳推計年収で2140.9万円という数字をたたき出しましたが、これは他業界を含めた全業種の中でも断トツの結果です。

 キーエンスに続くのは、次の通りです(カッコ内は推定40歳年収)。

2位:ファナック(1358.9万円)
3位:東京エレクトロン(1243.8万円)
4位:レーザーテック(1119.4万円)
5位:ソニー(1034.8万円)

 ここで気になるのは、多くの人にとってなじみ深いはずの家電メーカーの名前が見当たらないことです。

 2位のファナックは工作機械の「頭脳」と呼ばれる数値制御(NC)装置で世界シェアトップの企業で、キーエンスと同じくFAやロボット事業で高収益を上げています。3位の東京エレクトロンは半導体製造装置で国内最大手です。そして、4位のレーザーテックは半導体の製造工程で使用される欠陥検査装置で圧倒的な世界シェアを誇る、知る人ぞ知る超優良企業。株価はこの1年で約4.6倍に上昇しており、3年間で見ると13倍に爆騰しています。

 5位にやっと家電メーカーと呼べそうなソニーがランクインしていますが、最近よく指摘されるように、今やソニーは家電メーカーどころか電機メーカーですらなくなりつつあります。

 ソニーの2020年3月期決算におけるセグメント別営業利益を見てみると、収益の柱は「ゲーム&ネットワークサービス(2384億円)」と「イメージング&センシング・ソリューション(2356億円)」の二つ。前者はゲーム機「プレイステーション」やそのソフト、ネットワークサービス関連の事業。後者はスマートフォンのカメラなどに搭載されている「電子の目」、イメージセンサーを中心とする事業です。

 それに続くのが「音楽(1423億円)」「金融(1296億円)」。スマホやテレビなど、家電メーカーらしい事業が含まれる「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション」は営業利益873億円という状況です。

 従業員に高年収を払い続けられる企業というのは、それだけ高い付加価値を生み出し、顧客から支持され、市場の中での競争力が高い企業であると読み替えることができます。電機業界でそうした企業はどこなのかと見てみると、そこには家電メーカーの名前はなく、B to B事業のカテゴリーキラーや、純粋な電機メーカーではなくなったソニーが並んでいます。さまざまな示唆に富む結果といえるのではないでしょうか。

40歳年収が高い企業ランキングの
作成方法とは?

 ではここで、今回掲載したランキングの算出方法を解説したいと思います。

 まず今回のデータは、「有価証券報告書」(有報)で公開されている提出会社の平均年間給与(年収)を基にしています。対象期間は19年1〜12月期としました。

 ただし、この公開データは各社の従業員の平均年齢がばらばらであるため、本来は横並びで比較することができません。従業員の平均年齢が高いほど年収も高くなりがちだからです。

 そこで、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2019年)を基に、8業種(建設、製造、情報・通信、運輸、商業、金融・保険業、サービス、その他)の賃金カーブを多項式モデルによって作成。それを各社のデータに当てはめて、40歳時点の推計年収を求めました。

 このようにして比較可能なデータとして整備してはいるものの、このデータには厄介な「クセ」が幾つかあります。持ち株会社(ホールディングス)と事業会社が混じっていることです。

 持ち株会社として上場している企業の中には、経営企画や人事系など、少数の幹部社員しか在籍していないところがあります。すると、その企業の実態よりも年収が高く出てしまう恐れが強いです。そうした「クセ」の影響をなるべく排除するために、有報の提出会社が100人未満の会社はランキングから除外しています。

 一方で、公開年収が低い企業の中には、一般社員よりも年収が低い契約社員を含めている場合があります。他にも、定年退職者の雇用を積極的に進めている企業や、地方に本社を構える企業も年収が低くなる場合があります。

 こうした事情を踏まえてランキングをご覧ください。参考までに決算期時点の各社の従業員数も掲載しています。