今回は、上場企業の有価証券報告書に記載された平均年収のデータを使って、従業員の平均年齢が30代で東京に本社がある上場企業を対象に「年収が高い企業ランキング」を作成した。本社所在地はダイヤモンド社企業情報部調べ。単体の従業員数が50人未満の企業は除外している。対象期間は、2019年12月期〜20年11月期。

 早速、ランキングを確認していこう。

平均年齢31.4歳で2000万円超え!
M&A業界が上位を席巻

 1位は、イー・ギャランティ(平均年収2413.1万円)だった。これについては昨年8月配信の「年収が高い会社ランキング2020」でも説明した通り、同社が導入している、従業員に自社の株式を給付する株式給付信託(日本版ESOP)が満期を迎えたため、一部の社員の給与がこの年だけ高くなったという特殊要因によるものだ。このため、実質的なランキングは2位以下で見たほうがよい。

 2位にランクインしたのは、M&Aキャピタルパートナーズ(2269.9万円)。平均年齢が31.4歳と若いことも特徴的だ。特殊要因があった1位を除くと、年収が2000万円超なのはM&Aキャピタルパートナーズ1社のみで、3位とも500万円ほどの差が開いている。

 頭一つ抜けた「高年収企業」なのだが、実は同社の前期(2019年9月期)における平均年収と比較すると3割弱減少している。M&Aキャピタルパートナーズの有価証券報告書によれば、19年9月期の平均年収は3109.3万円。なんと3000万円を超えていたのだ。

 平均年収が大きく変動した背景には、「賞与」の影響がある。従業員に支払われる給与において、業績変動の影響を受けやすい賞与の割合が高いのだ。同社の20年9月期の有価証券報告書には人件費の内訳が掲載されているが、それによると給料手当4億8255万円に対して、賞与は17億9773.6万円に上る。つまり、給料手当の3倍以上の額が賞与に充てられているということだ。

 コロナ禍が重なった20年9月期は売上高が118.7億円(前期比5.7%減)だった。一方で、19年9月期は売上高125.9億円(前期比57.0%増)で大幅に増収増益となっていた。こうした業績の変化が賞与、ひいては平均年収に大きく影響している。実際に20年9月期の有価証券報告書では、「営業部門に帰属する売上高の減少によりインセンティブ賞与が減少した」と述べられている。

 3位は大手不動産会社のヒューリックで1761.0万円。4位にはM&A仲介を手掛けるストライク(1357.4万円)、5位も同じくM&A仲介を行う日本M&Aセンター(1353.3万円)がランクインした。

 上位5社中3社が「M&A」に関わる企業ということになる。直後の6位に入ったフロンティア・マネジメント(1239.9万円)もM&Aアドバイザリーや経営コンサルティングを行う企業だ。

商社、テレビ局は平均年齢が40歳以上
30代のランキングは顔触れも大きく変わる

 M&A業界の面々が目を引く今回のランキングだが、「従業員の平均年齢が30代」という制限を設けたことでランキングに載らなかった高年収企業も多数ある。

 代表的なのが、年収が高い企業ランキング“常連”の商社やテレビ局だ。昨年11月に配信した「年収が高い企業ランキング2020【東京都・全500社完全版】」では三菱商事や伊藤忠商事など5大商社全てが10位以内に入ったが、いずれも平均年齢は40歳以上。今回のランキングでは対象外となった。テレビ局も同様に今回のランキングには入っていない。

 平均年齢で区切ることによって上位に並ぶ企業の顔触れは大きく変わった。20〜30代にとって給与面で魅力的な企業を考える際には、平均年齢も注目しておくべきだといえる。

 ただ、平均年齢が低くて年収が高い企業には、2位のM&Aキャピタルパートナーズのように業績や個人の成果に応じて支払われるインセンティブ報酬の割合が大きい会社が多い。若くても高年収を実現できる可能性が高まる一方で、年収が変動するリスクが大きいことは心得ておきたい。

 ランキング完全版では、6位以下の計300社を掲載しているほか、平均年収が800万円以上の50社を業種別に分析した。ぜひチェックしてほしい。

(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)